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ACE COMBAT 5 RESURRECTION OF RAZGRIZ Episode2

前スレッド No.107
11 ゼネラル・マーシュ 2006/03/31 Fri 13:05:11
エースコンバット5 リザレクション・オブ・ラーズグリーズ エピソード2

第2部へ突入します。
ちなみに、第1章での「レザレクション」は間違いです。申し訳ありませんでした。
また、第3話「反撃への離陸」にて「眼下しながら」は「降下しながら」です。

検査が甘い・・・
2レス目から本編へ。 お暇潰しにでもどうぞ。
12 ゼネラル・マーシュ 2006/03/31 Fri 13:05:59
――――― 第10話 『共鳴する声』


「お久しぶりです、ニコライ中佐。」
突然、ニコライ達の前に女性士官が現れた。

「エレノア!・・・生きていたのか!?」

イカロスが持っていたメロンソーダが彼の手からすり抜けて、墜落した。ニコライも驚きを隠せなかった。クルイーク要塞でラーズグリーズに撃墜され、戦死したエレノアが生きている。しかし、生存報告は聞いていない。

「どうやって・・・」
「総員、戦闘配置に就け!前方にオーシア艦隊!」
ニコライの発言を消すかのように艦内放送が鳴り響く。


―――2010年、12月29日。セレス海。

ニコライ達の乗ったフランカーが飛行甲板に出ると、水平線の向こうに5隻のオーシア艦隊が見えた。そして、信じられない事にオーシア艦隊の中央にいる空母からユークトバニアの首相、ニカノールの演説が流れた。
「―――私は今、オーシア空母ケストレルの艦上にいる。我がユークトバニアとオーシアの友情を取り戻す為だ。我々は再び・・・」

だが、ニカノール首相の演説に対し、ユークの艦隊司令官は信じられない返事をした。

「艦隊各艦へ告ぐ、両国の間には憎悪しか存在しない。 元首ニカノールは敵についた。これを認め、敵艦もろとも海中へ没セシメヨ」
艦隊司令官の発言の後、1隻のフリゲートが前に出て艦隊の進路を塞ぐ。
「し、しかし司令官!仮にも元首のお言葉です! 戦闘の中止を!」

「・・・艦隊の前を邪魔するフリゲート艦、ピトニムクを撃沈せよ。撃ち方始め!」

艦隊司令官の命令で2隻の駆逐艦が発砲し、ピトニムクを撃沈する。

しばらくの間周囲は沈黙していたが、艦隊の右舷を航行する駆逐艦“グムラク”が艦隊からの離脱を開始した。
「同僚の撃沈を命じる艦隊司令官とは行動を共に出来ない!我々は、ニカノール首相を護る。同意する艦は我に従え!」

グムラクに続き、駆逐艦ドゥープ、チューダも艦隊から離脱する。ユーク艦隊司令官は離脱する3隻への攻撃を命じる。
沈み行く夕日を背後に、エレノア達の飛行隊は発艦。ニコライ達もそれに続く。
「おり・・・クワント1、発進する。」
ニコライ、イカロス、アンドレイ、ミハイルが空に上がったとき、オーシアの空母からも艦載機が上がってくる。

それは4機の黒い戦闘機だった。
13 ゼネラル・マーシュ 2006/03/31 Fri 22:48:44
―――――第11話 『混迷の海』


「この歌は・・・?」
空母ケストレルから大音量でラジオから歌が流れている。曲名は“ジャーニー・ホーム”。

艦隊を離脱した3隻の駆逐艦に攻撃を加えるユーク艦隊。そんな逃走艦を護るかのように4機の黒い機体がユーク艦隊に攻撃を仕掛ける。

「艦隊を支援します。全機散開!」

エレノア率いるルーチ中隊が散開し、迫り来る“黒い機体”の迎撃に向かう。
「ニコライ中佐、援護をお願いします。」
「任せておけ、行くぞみんな!」
ユーク艦隊を襲う黒い部隊と交戦状態に入るニコライたち。接近を感知した黒い機体はすぐに旋回する。しかし、ニコライはその飛び方に見覚えがあった。
「・・・ラーズグリーズの悪魔・・・」

一方、海上でも激しい戦闘が繰り広げられていた。ユーク艦隊から離脱した駆逐艦ドゥープが撃沈され、残ったチューダとグムラクは味方から激しい攻撃を受けつつケストレル艦隊を目指している。

「捕らえた。ルーチ1、フォックス3!」
エレノアは敵機向かってSAAMを発射するが簡単に回避される。この時彼女はクルイーク要塞での戦闘を思い出した。この機動、間違いなく“ラーズグリーズ”と同じである。
「クソ!黒い奴が撃ってきた!・・・撃たれた、脱出する!」
「ルーチ3撃墜!くっ・・・俺の前にも来た!」

“ラーズグリーズの亡霊”が次々とエレノアの寮機を叩き落していく。そんな中、別方向からもミサイルが飛来した。
「こちらイージス艦カニェーク。右舷からオーシア軍が接近中!」
オーシア艦隊が戦場に乱入し、ユーク及びケストレル艦隊へ攻撃を開始した。夕日により美しく輝くセレス海は航空機と艦船が入り乱れる修羅場へと変わり果てる。

「前方からオーシアのF−22戦闘機!」
ニコライとエレノア達の正面からオーシア軍機が向かってくる。ニコライの編隊とオーシア軍の編隊が銃弾と共にすれ違い、空中格闘戦に突入した。
「敵艦船からの攻撃にも警戒せよ!」
エレノアは急降下し、オーシア巡洋艦シバリーにミサイルを叩き込んだ。巡洋艦シバリーの砲塔が回転し、SAMと主砲でエレノアのフランカーに凄まじい対空攻撃を披露する。
「ルーチ1、敵機と敵艦に狙われているぞ!」
オーシア艦隊の対空攻撃を回避しているエレノアを、オーシアのF−35戦闘機が追撃している。エレノアは低空飛行でユーク艦隊の懐に飛び込み、それを追撃したオーシア戦闘機がユーク艦隊の対空攻撃に飲み込まれた。

「左舷からオーシア軍機!迎撃せよ!」
ユークイージス艦カニェークが、空母アドミラル・ツァネフを狙うオーシアのF−35戦闘機を撃退している。凄まじい対空砲火の中、1機の航空機が姿を現す。

「ラーズグリーズの亡霊だ!叩き落せ!」

イージス艦カニェークは応戦するものの、ラーズグリーズは幽霊のように弾幕をすり抜け、最後にはミサイルでカニェークを沈黙させた。
「・・・カニェークがやられたぞ!」
空母アドミラル・ツァネフの左舷を防御していたカニェークが没し、悪魔の1機はその矛先をアドミラル・ツァネフに向ける。
「ラーズグリーズ接近!全員衝撃に備えろ!」
14 ゼネラル・マーシュ 2006/03/31 Fri 22:51:15
―――――第12話 『紅のセレス海』


「空母がやられた!俺たちゃどこに帰るんだ!?」
イカロスは予期せぬ出来事に感情を破裂させる。
ラーズグリーズの手により母艦を失ったニコライ達。更に空母の右舷を護っていた旗艦である巡洋艦シバリーまでもがラーズグリーズの餌食になった。

「・・・アンドレイ、その、“灰色の男達”は何所を拠点にしている!?」

ニコライは決心した。ここでの戦闘は何の意味も無い。戦場を離脱し、この戦いの黒幕を突き止め、それらを排除するしか道は無い。
「彼らの拠点はノースオーシアの兵器会社だと・・・しかし、正確な場所は・・・」

イカロスがオーシアのF−22を機銃で撃墜し、火の塊がセレス海へ墜ちてゆく。ニコライは無線でエレノアに呼びかけた。
「エレノア、聞こえるか?ニコライだ。今すぐ戦線を離脱するぞ!」
「こちらルーチ1、中佐、どこに向かうのですか?」

ニコライとアンドレイは今までの有様を全てエレノアに説明した。2つの国家の戦争の背後にあるベルカの陰謀のことを。

「・・・了解、貴方に従います。それで、どうすれば?」
「海域を脱出するにはオーシアの空母が邪魔だ。まず空母を撃沈し、退路を開く。」

再び警報が鳴り響く。航空機、艦船のどれから狙われているか判らない。確かなのは砲弾やミサイルが飛び交う戦場から早急に離脱したいことだけだ。

ラーズグリーズ、オーシア、ユークの混戦により、各陣営の戦力は消耗しつつも戦闘をやめる気配は無い。そして、ケストレル艦隊に合流したグムラクとチューダが、ユーク艦隊に攻撃を始め、指揮系統に更なる混乱をもたらした。

「<上空からユーク軍機!敵機を落とせ!空母を死守せよ!>」
オーシア空母バーベットに随伴するイージス艦ハルシオンと、駆逐艦アイオライトがニコライ達の行く手をさえぎる。
「クワント13墜落!オーシアの激しい対空砲火だ!油断するな!」
イカロスは海面スレスレまで降下し、敵の弾幕から逃れようとする。

その上空では味方機が木の葉のように飛び散り、砲弾とミサイルが絶えず吹き上がってくる。その時、イージス艦ハルシオンが爆発。煙を吐きながら傾斜し始めた。それでもミサイルを放ち、上空のユーク軍機を道連れにした。ミサイルが直撃して、落とされた航空機の残骸が隕石のような勢いでオーシア空母の飛行甲板に激突。火災が発生し、先ほどまで銃弾の嵐を巻き起こしていた防御兵装も沈黙した。
「空母を叩くぞ!全機攻撃せよ!」

彼らの真上にはラーズグリーズの亡霊が。4機のうちどの機体がイージス艦を仕留めたかは分からないが、ニコライ達の負担は軽減されたのは確かだろう。
ニコライ達は護衛の消えたオーシア空母、バーベットへ連続でミサイルを叩き込んだ。
「道が開けた!脱出するぞ!」

大破し炎上する空母から舞い昇る煙の中を通り抜けるニコライ達。だが、煙の向こうにはオーシアの駆逐艦の姿が。
「狙われている!回避だ!」
ミサイルがニコライのすぐ横をかすめ、追従していた味方のフランカーに命中した。そのまま戦場を離脱し、味方を確認した時には寮機の殆どが居なくなっていた。

「生き残ったのはこれだけ!?」
エレノアは周囲を見渡すが、自分の寮機は全滅し、生き残っているのは元オリオン中隊の2人とその後に合流したアンドレイとミハイルだけだった。ニコライを中心とし、編隊を組む。

夕日が沈み、夜が訪れる。
15 ゼネラル・マーシュ 2006/04/02 Sun 22:01:46
―――――第13話 『ジャーニー・ホーム』


2010年、12月30日。 オーシア、大統領官邸。

「“―――両国将兵の皆さん、私とハーリング大統領が肩を並べ、手を取り合う姿をご覧ください。両国間の不幸な誤解は解け、戦争は終わりました。しかし、我々にはまだなさなければならない戦いがある。”」

空母ケストレルに保護されていたユークの首相ニカノールは、ベルカによって幽閉されていたオーシア大統領ハーリングと共に大統領官邸で演説を行っていた。

この2人の国家首相を救助したのはラーズグリーズの亡霊で、ニカノール首相をここまで運んだのはバートレットと言う人物だ。彼は今も会場の片隅で演説を見守っている。

「“そのとおりです。我々の間に憎しみを狩り出した者達は、我々の住むどちらかの都市を破壊できる力を保持しています。しかし、我々の友人たちがその企みを阻止すべく、行動を始めています。 破壊されようとしているのは2つの国のどちらなのかは分からない。”」

各報道陣の眩いカメラのフラッシュの中、2人の演説は続く。

「“しかし、それは重要ではない。どちらの国が被る被害も共通の大きな痛手です。”」


空中管制機オーカ・ニエーバと、オーシアの給油機と合流したニコライ達。
彼らもオーカ・ニエーバの中継で大統領達の演説を聞いていた。

「仲良くするのが一番・・・ね。」
エレノアのフランカーがニコライ達の背後につく。
「ニコライ中佐、私のポジションはどうなりますか?」
すると、イカロスのフランカーが「ここに入れ」と言わんばかりに機体をロールさせて場所を空ける。


「“両国将兵の皆さん、彼らを手助けしてやって欲しい。 彼らは今、東へ飛んでいる。”」


演説の後、ニコライたちのフランカーのレーダーに4期の機影が映し出される。
「中佐、“彼ら”がお出ましですよ?・・・そういえば、あの歌覚えていますか?」
ミハイルは口笛を吹き始めた。それはセレス海海戦で流れていた“ジャーニー・ホーム”だ。彼らの憶測が間違っていなければ、正面から来る大統領達の友人はラーズグリーズだろう。

「僕ら、何のために危険を冒してまで低空飛行してきたのでしょうか・・・?」
ため息をつくアンドレイ。彼らはオーシアの防空ラインを避けるため、ここまで低空飛行で侵入してきた。しかし、2人の大統領が全てを明かした為に、彼らの行為は若干くたびれもうけだったのかも知れない。


「“なおも、まがまがしい武器の力を使おうとする者たちよ、平和と融和の光の下にひれ伏したまえ”。」
会場は拍手と歓声に埋め尽くされた。
16 ゼネラル・マーシュ 2006/04/02 Sun 22:04:06
―――――第14話 『ACES』


「こちらは、ユーク第703飛行隊だ。大統領達の演説を聴いた、君達につく。」
ニコライ、イカロス、エレノア、アンドレイ、ミハイルの5人はラーズグリーズ部隊の背後で編隊を組む。

すると、ミハイルの口笛は歌に変わる。周囲からはオーシア、ユークの融和派の勢力が続々と集結し、皆がジャーニー・ホームを歌った。


口笛は歌に、歌は合唱に。歌が大きくなるにつれ、仲間も増える。


「正面にノース・オーシアグランダーIG社の施設が見える。」
すると、レーダーに新たな反応が。
「奴ら、戦闘機を繰り出してきたぞ!」

ラーズグリーズの接近を感知したグランダー社は両国の交戦派の軍人を雇っていた。“V1核ミサイル”という報酬をエサにして。

グランダーIGと言えばベルカ戦争で自国の兵器を製造していた大手企業。ここ、ノース・オーシア州もかつてはベルカの土地である。
この施設の内部には巨大なトンネルと衛星コントロール施設があり、ベルカ人は当初オーシアなどの連合軍が建造していた攻撃衛星「SOLG」を強奪。これを反撃戦力に加えていた。

「俺達は地上を攻撃する味方を援護する。ガンタワーの攻撃に警戒しろ!」
ニコライ達はラーズグリーズ及び多くの仲間たちと共にグランダー社の施設へ迫る。地上には多くのタワーと防御陣地が構築されており、味方地上部隊の進攻を阻んでいる。


「ようやく到着だ。ウェルテス中隊前進せよ!」
ユークの新型揚陸艦がグランダー社の造船所に接岸し、戦車が次々と上陸を開始した。
「こちらユーク第4戦車中隊の指揮官、コリンキィ少佐だ。航空機部隊へ、上空から敵防御陣地の排除を要請する!」
先日飛行場でニコライ達を大いに支援したコリンキィ少佐。今度は戦車と歩兵を従えて再びニコライ達と戦場を共にする。


「<雑魚に構うな。私に続き、ウォードックの幽霊、ラーズグリーズの亡霊を地獄に送り返すのだ!>」

3機の戦闘機が急降下してくる。Su−47ベルクトを2機引き連れたハミルトン少佐。彼はベルカ人のエースに鍛えられた精鋭であると、管制機オーカ・ニエーバから通達があった。

「あのMig−1,44に乗った奴が指揮官か!?」
ミサイルと機銃の嵐と共にハミルトンのミグがオーシア軍のF−15を叩き落とす。
「手ごわい奴がいるぞ!全機散開!ブレイク!」
一斉に散開する融和派の同盟軍。

交戦派の部隊は同盟軍より高性能な機体を持ち出してはいるが、数では断然にこちらが優勢である。その時、管制機オーカ・ニエーバから通信が入る。

「歌声で集った諸君、敵勢力が一斉にラーズグリーズを狙い始めた!」
「・・・彼らを援護する。」
ニコライは無線につぶやいた。かつては敵として戦ったラーズグリーズだが、今は同じ目的を持ち、共闘している。
「我々もだ。全機、ラーズグリーズを援護せよ!」
17 ゼネラル・マーシュ 2006/04/03 Mon 13:38:27
―――――第15話 『天空からの落雷』


どこからか打ち上げられた照明弾が、街灯のように戦場を飾っている。照明弾以外にも飛び交う銃弾が確認できた。

「捕らえた!射撃開始!」
エレノアのフランカーが機銃で敵のベルクトを蜂の巣に仕立て上げた。だが、そんな彼女の背後にはハミルトンのミグの姿が。
「エレノア!敵機だ!6時方向!」

イカロスの警告と同時にエレノアが機体をロールさせると、コックピットの真上をミサイルがかすめていった。

距離が迫るとハミルトンは機銃でエレノアに襲い掛かる。段々照準が正確になり、主翼やコックピットをかすめ、今にも命中しそうな状況。

「ぬ!?・・・不覚・・・ウォードックの亡霊め!私はまだ諦めない!」

ラーズグリーズが放ったミサイルがハミルトン機に命中した。被弾したハミルトンはそのまま夜空の中に消え失せる。

「ラーズグリーズと一緒に飛べるなんて、夢にも思っていなかった。」
エレノアがラーズグリーズと同じ空を飛ぶのはこれで3度目。しかし、“味方”として飛ぶのは今回が初めてである。


「ウェルテス5!そこはガンタワーの射撃圏内だ!」
「了解!後退します!」
ユークの戦車部隊を率いるコリンキィ少佐はガンタワーによって足止めされていた。タワーは機関銃をはじめロケットランチャーやグレネードで武装されており、頑丈な素材で作られている。

タワーは絶妙な高さで、地上から攻撃してもタワー手前の防弾壁に阻まれてしまう。戦車砲なら破壊可能だが、タワーからロケット砲が狙っている為容易に接近出来ない。

「ジャベリン・ロケットを持って来い!あのタワーを狙撃するぞ!」
「いや、まて」
彼らの上空をラーズグリーズが通り抜け、ミサイルでガンタワーを沈黙させる。
「道が開けた!ウェルテス中隊前進せよ!」


遠くの丘の上が輝く。その直後、衝撃波と爆音が響いた。


「上空から攻撃!?航空機じゃないぞ!?」
攻撃衛星“SOLG”が稼動し、レールガンによる衛星軌道上からの狙撃が始まった。第1派の攻撃により、同盟軍は航空、地上の増援ラインを寸断される。
天空から降り注ぐ光の玉により周囲は混乱に陥った。ニコライ達は周囲の敵航空勢力を排除しつつ、丘の反対側を目指した。


「おいおい、ここは敵の戦車だらけじゃないかぁ!?」と、イカロス。
造船所と比べると圧倒的に劣勢な連合軍。丘の反対側だったせいか、こちら側には戦車が1両も見当たらない。
「地上の味方を支援する。戦車を叩け!」
ニコライ達は手分けして敵戦車の駆逐を開始。徐々に味方地上部隊が施設へ進軍、到達した。歩兵部隊が施設内部へ突入し、コントロール施設内部を制圧。すぐさまトンネル内部のSOLG制御装置へのゲートを開放した。


「オーカ・ニエーバから各機へ、トンネルのゲート開放を確認。バートレット大尉、準備はいいか?」
「こちらハート・ブレイク・ワン。準備はいいが、護衛が必要だ。何機か援護に回してもらえないか?」

バートレットの周囲にはニコライ達の部隊の姿が。
18 ゼネラル・マーシュ 2006/04/03 Mon 13:39:47
―――――第16話 『栄光を目指して』


「冗談じゃないぞぉ!こんな場所を飛行機で飛ぶなんて非常識だ!」

バートレット、ニコライ、イカロス、エレノア達はSOLG制御装置目指して狭いトンネル内を突き進む。

「後方から敵のS−32が4機!くそ、アンドレイたちは侵入を許したのか!?」
バートレットの後方防御としてニコライ達がトンネルに侵入する際、アンドレイとミハイルは敵の追撃を阻止させる為、トンネル外部で待機させていた。

トンネル内部にはSOLGの制御装置が2ヶ所あり、1度の侵入では片方しか破壊出来ない。ラーズグリーズが反対側の制御装置を破壊し、バートレットがもう片方の装置を破壊する手筈となっている。

「こちらハート・ブレイク・ワン。お前達の真正面だよ、ブービー。」
ブービー(どん尻)とはラーズグリーズ隊員の名前なのか。疑惑を隠しきれないニコライたち。ラーズグリーズにはまだまだ謎が多い。


「<生きていたのか・・・バートレット!?>」

ラーズグリーズの後方からはハミルトンとその護衛が迫っていた。
彼はベルカの核兵器を入手し、その恐怖で戦争を終結させると言い張る。

「目標を視認。」

バートレットがミサイルで中枢部を破壊すると、同時に施設全体が崩壊し始めた。
トンネルから脱出する為、彼らは反対側へ進み続ける。
「こちらアーチャー。前方からバートレット機が接近中・・・ということは・・・」

ニコライ達もレーダーに映る4機の戦闘機、ラーズグリーズを確認した。

「真正面からすれ違うぞ!いいか、1・2・3で右に避けろ。」
正面にラーズグリーズが見えてくる。その背後にはハミルトンたち。そして、ニコライたちの背後にはベルクトが迫る。

「それ!1・2の3だ!」

ラーズグリーズ、ニコライ達は機体を90度起こし、腹と腹を合わせてすれ違った。
エレノアは皆とは逆にロールし、ラーズグリーズとすれ違う際、亡霊の1人と視線が一致した。

「い〜やっほう!!!」
交差を無事に終えたバートレット達の正面からハミルトンが急速で迫る。

バートレットはミサイルを放って正面から迫る敵のSu−47を粉砕。その後方からやってきたハミルトンは四散した敵機の破片を受け、この世界から退場した。
だが、SOLG制御装置停止に伴いトンネルの隔壁が閉鎖されてゆく。

「出力を上げろ!閉じ込められるぞ!」

閉じてゆくシャッターを紙一重で通り抜け、トンネル内部にあるクレーンなどの障害物を回避して、トンネルの壁と味方機に接触しないよう気を配りつつ、アフターバーナー前回で出口を目指す。

「ようやく出口だ!さっさと抜け出そうぜ!」
彼らはトンネルから抜け出すと同時に操縦桿を命一杯引き起こした。

「ふう・・・危なかった・・・2度とこんななのは願い下げね。」
爆発するトンネル出口を振り返り一息つくエレノア。集合し、空中で編隊を組みなおすニコライたち。
「・・・やったな、任務完了だ。」
19 ゼネラル・マーシュ 2006/04/04 Tue 19:16:23
―――第17話 『暁の空』


2010年、12月31日。 オーシア首都、オーレッド。


昨晩の攻撃により全ては終わったかと思われた。だが、レーダーがSOLGの落下を察知した。情報部の分析では、地上からの信号が途絶えると自動的に降下するようにプログラムされていたらしい。
落下予測値店はオーシア首都オーレッド。ニコライたち同盟軍は、SOLGが市街地に突入する前に空中で破壊する命を受けた。


12月31日。オーレッド海上空。

複雑な気分だ。ようやく戦争が終わり全ての戦闘に終止符を打ったかと思ったが、ベルカ人は強攻策に出て、自分達は再び空へと舞い戻る。

「今度は落下する衛星を破壊するだとぉ!?何で俺達ゃいつも無茶苦茶な任務ばかり与えられるんだ!?」

ニコライたちは昨晩の戦友達と共にSOLGの迎撃に向かっていた。辺りを見回すと多くの味方が。とても心強い限りだ。
そして、攻撃可能高度にSOLGが降下する10分前のことだった。オーカ・ニエーバから通信が入る。
「警告、レーダーに国籍不明機多数を感知。恐らく先日の残党と思われる。」

国籍不明機はオーシアの中心を目指しているようだ。オーカ・ニエーバからの情報によれば、国籍不明機は80機以上にからなる大編隊だそうだ。
今、これらを阻止できるのはニコライたちのみ。首都オーレッドでは、防御用のパトリオット・ミサイルの配置が進められているが、間に合う見込みはあまりない。

「管制機、SOLGへの対処はどうなる?」
「ニコライ中佐、部隊を率いて次の目標へ向かえ。位置はHUD(ヘッド・アップ・ディスプレイ)に表示した。SOLGにはラーズグリーズが向かっている。」

進路変更して数分後、遠くの空に機影が見えてくる。その光景はまるで、渡り鳥の群れであった。

「何て数なの・・・どこからこれだけの戦力を?」
エレノアは普段見ない航空機の群れに対し、少しながらも恐怖を感じている。

「こちらオーカ・ニエーバ前方に敵機。各機、戦闘に備えろ。」
20 ゼネラル・マーシュ 2006/04/04 Tue 19:17:17
―――――第18話 『降り注ぐ爆弾』


敵編隊は戦闘機、攻撃機、爆撃機、早期警戒機、輸送機、哨戒機で不規則に編成されている。それに様子も変だった。ニコライ達が接近しても相手は何の反応もしない。

「オーシア空軍、ハンマー中隊のデニス少佐だ。敵航空機は全て爆弾を装備している模様。」
A−10攻撃機5機で編成されたハンマー中隊。昨晩はグランダーIG社への攻撃に参加し、今朝も一番に離陸した仕事熱心な部隊である。

「オーカニエーバからハンマー隊へ。撤収せよ、空中戦になるぞ?」
「いや、数は多いほうがいいだろう?我々も参戦する。」

イカロスは敵編隊の後方に回り込み、ロックオンしたのを確認すると発射ボタンを押した。
「敵機撃墜!よし、次だ!・・・おい、奴ら、全く無反応だぞ?」
「・・・こちらオーカ・ニエーバ。諸君、悪い知らせだ。」

AWACSオーカ・ニエーバから送られてきた情報では、これらの敵機が全て無人機だと判明。そしてこれは、化学兵器を搭載した自動操縦による無人飛行爆弾テロである。
何故長距離ミサイルではなく、こんな面倒な真似をするのか?とにかく同盟軍は敵機の駆逐を開始した。

「可能な限り海上で撃墜するぞ、1機でも多く落とすんだ。」と、ニコライ。
ニコライ達は戦闘機を担当し、他の同盟軍に残りを任せた。イカロスはミサイルを節約して機銃での戦闘を行っていた。だが、落としても全然数が減る気がしない。

「弾薬を惜しむな、どんどん撃って片っ端から叩き落とせ!」
状況が違えばあらゆる飛行機が集まる航空ショーであるが、今はとても光景を楽しめる状況ではない。

「小型機は始末した、大型のやつをやるぞ。弾薬の残りは十分だな?」
眼下には陸地が見えてきた。残された時間はあまり多くない。1機でも侵入を許した場合、風向きによっては大きな被害を巻き起こす可能性がある。

「・・・中佐、あれを見てください・・・」
エレノアの報告を聞きニコライが振り返ると、はるか後方の上空には巨大な人工衛星の姿が。それは降下してくるSOLGだった。

「オーカ・ニエーバ、ラーズグリーズは何をしている!?」
「現在ベルカ人戦闘機部隊と交戦中だ。」

ニコライ達のとは別にSOLGの迎撃に向かったラーズグリーズ。しかし、ベルカ人の飛行部隊の待ち伏せを受けている。今すぐ彼らの支援に迎えるのはニコライ達のみ。
「中佐、ラーズグリーズの援護に向かいましょう!」
「いや、待て!」

ニコライ達の後方にSOLGとは別に大きな影が。
21 ゼネラル・マーシュ 2006/04/04 Tue 21:09:25
―――――第19話 『黒い翼の天使』


「ミサイルアラート!全機ブレイク!散開しろ!」
巣を刺激された蜂の群れのごとく無数のミサイルが飛来する。ニコライはミサイルをやり過ごすと再び目標に目を向けた。

「アレは何だ?飛行機にしては大きすぎるぞ!?」

ブーメランのような形をした巨大な飛行物体。宇宙船“アークバード”も巨大だが、この黒い翼も衝撃的な大きさである。

「こちらヴァイパー1、管制機!アレは一体何なんだ!?寮機がみんな撃墜されたぞ!」

混乱の中、しばらくしてオーカ・ニエーバから調査結果が通達される。
「分かったぞ、あれはかつてのベルカ戦争で建造された重武装空中管制機、フレスベルグを基盤とした原子力空中空母“ハールート”だ。」

ハールートは原子炉を搭載し、対空、対地攻撃能力を備えた空中戦闘空母である。だが、いくらこの大きさでも先程の大編隊を搭載できるとは考えにくい。
考えている内に再びミサイルが迫る。

ニコライたちはすぐさまミサイルを回避するが、後続のA−10が数機撃墜された。
「ハンマー3被弾!脱出する!」
ニコライはデニスに部隊を退却させるように呼びかけた。しかし、彼らが撤退する気配は無い。

「ミサイル発射管を破壊して敵の攻撃力を削るぞ。このままではハンマーの連中が撃たれてしまう。」と、ニコライ。
「オメガ1、ストーン大尉だ。我々が先行して敵の対空砲火を引き付ける。」
5機のF−16がハールートのエンジン部分にミサイルを叩き込み、すぐさま離脱した。そんな彼らをハールートの対空砲とSAMの弾幕が追跡し、オメガの1機が撃墜される。

「エンジン部分に集中攻撃!破壊するぞ!」
ニコライ達とハンマー中隊もオメガに続きエンジン部分を集中攻撃。爆発と共に、ハールートはガクンと機種を下げ始めた。
しかし、主翼の下部に取り付けられた補助エンジンが始動。再び姿勢を立て直しオーレッドへ向かい始める。

「中佐、エンジンを全て破壊しましょう。まだまだ墜ちそうにありません。」
アンドレイはハールートの対空砲を避けつつ下からミサイルを放ち、エンジンを潰してゆく。しかし、ミサイルが足りない。

「オーカ・ニエーバより各機へ、奴の弱点が判明した。機体上部の通信区間を破壊するんだ。そこさえ破壊すれば奴は落ちる。」

やはりこのハールートも無人機で自動操縦だったようだ。原子炉でも十分危なそうだが、情報によると大量の通常爆弾と機体の燃料が満載されている。その機体でオーレッドへ突入・自爆された場合は、一瞬にして首都は廃墟と化すだろう。
「・・・通信塔?・・・つまりどこからか遠隔操作しているのか?」

そして、東の空から朝日が顔を出した。
22 ゼネラル・マーシュ 2006/04/04 Tue 21:10:51
―――――第20話 『墜落天使』


ラーズグリーズ部隊はオヴニル、グラーバクのベルカ人飛行部隊を撃破し、SOLGの迎撃に復帰。別地点ではニコライ達も大型の空中空母ハールート相手に奮戦していた。圧倒的巨体と防御火力の前に苦戦しつつも、彼らは攻撃を続ける。

「ロックオン!ヴァイパー1、発射!」
「ハンマー5がやられた、これで最後のミサイルだ。ハンマー1、フォックス2!」

ニコライ達の激しい攻撃によりハールートの上部装甲が剥がされ、通信施設と思われる部分がむき出しになる。内部からは大量の黒煙が噴出し、ニコライは真上からその部分に機銃掃射を行った。
「よし、命中したぞ!」
ハールート上部で爆発が起き、機体全体が激しくスパークを起こす。同時に対空防御システムも停止し、対空砲とSAMによる迎撃が沈黙する。

「目標は停止した模様。しかし、まだ滑空しています!」
エレノアは眼下に見える大陸を目で辿った。既にオーレッドが見え、ハールートはエンジンと通信施設を失って降下しながらもオーレッドを目指していた。

「全機、ハールートの右翼を攻撃しろ!」
ニコライは全員に指示を出した。先程の内部爆発でハールートの主翼右舷に亀裂が入り、破壊できそうだった。
「・・・?防御システムが再起動した!?撃ってくるぞ!」

機銃と対空砲が息を吹き返し、線香花火のような勢いで再び弾丸を吐き出してくる。

「残った弾薬全てを叩き込め!右翼を破壊するしか道はないぞ!」
デニスのA−10がハールート後方につき、大口径のガトリング砲を掃射した。放たれた銃弾がハールートの装甲板の上で火花を散らしながら穴だらけにしてゆく。

「ハンマー1、被弾した。立て直す!」
デニスのA−10の片方のエンジンから黒煙が吹き出ている。推力は低下したものの、デニスはまだ戦線を離脱することは考えていなかった。A−10は頑丈で、たとえ片方のエンジンを失っても飛行を続けられる。

ニコライ、アンドレイも残ったミサイル全てを亀裂部分に撃ち込んだ。空中で破片が飛び散り、右舷翼がだんだん傾いてきた。

「骨格が見えてきた!ミハイル、ミサイルを叩き込め!」
「了解!」
ミハイルも最後のミサイルを発射した。ハールートは火災が発生し、やがて左に傾斜。
「まだ攻撃が足りない、もっとダメージを与えなくては!」
しかし、ミサイルは全て撃ち尽された。こうなると機銃で対応するしかない。デニスのA−10が再びガトリングで掃射し、ハールートの装甲板をボコボコに叩きつける。その結果、開いた穴からエンジンルーム付近の燃料庫が姿を現す。

「ニコライ中佐!この戦いに終止符を!」
「ああ!」
ニコライは急上昇した後、対空砲を避けつつ機体を降下させながら燃料庫に機銃掃射を行った。銃撃によって格納された爆弾が次々と爆発し、最終的には大規模な爆発を巻き起こした。

「こちらヴァイパー1、目標破壊の破壊を確認!」
「ハンマー1、こちらからも確認した。ハールートは空中で分解、沈黙した。」

ハールートは炎上しながら真っ二つに割れた。その巨体は隕石のごとくオーレッド海へ墜ち、大きな水柱を作り上げる。

「みんな無事か?」
仲間の無事を確認するニコライ。
「大丈夫ですよ、中佐。」
「私も大丈夫です。ニコライ中佐。」
「僕も問題はありません。」
「俺も大丈夫です。」

その直後、北の空でも爆発が起こった。ラーズグリーズ部隊がSOLGを無事に破壊したのだろう。
当初、ニコライたちユーク軍の前に「悪魔」として登場したラーズグリーズ。そして姿を消し、「亡霊」と化した後、SOLGを破壊して戦争を終結へと導いたラーズグリーズの「英雄」。

その後、彼らラーズグリーズ部隊の消息は一切不明だが、オーシア大統領ハーリングはこの事件の真相を2020年に公開することを先方最高議会で表明した。


“世界は新たな時代へと向かい始めている。 闇を照らす炎が消えぬ限り、この道は続くであろう”
―――――ビンセント・ハーリング

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