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「隠す者」〜from hel with love〜 Vol.2

前スレッド No.119
9 HIROKI 2006/07/11 Tue 22:56:16 KhjA..Hbz.5CfH
http://snow.freespace.jp/mitoro/acecombat/?3/a114#S
「隠す者」〜from hel with love〜 Vol.1
の続きスレッドです。残り一話で容量オーバーしてしまったため、見苦しいスレッドですみません。
次は文字数と容量を計算して書くようにします・・・。
10 HIROKI 2006/07/11 Tue 22:59:04 KhjA..Hbz.5CfH
『真実はこの世の中で一番面白い冗談である。』
――――――ジョージ・バーナード・ショウ


−−−−−−−−−−−−−「隠す者」〜From hel with love〜(8)
【 2010年、1月9日、12:00 正午 】
 管制塔裏。日陰で程よくやわらかい地面。

 僕とHIROKIが到着した時、レスター君は懸命に穴を掘っていた。
 そして僕らが呆然と見ている中で、穴の中からいろいろなものがあふれ出した。
 でかいキーホルダーを着けたサイフ、レンチ、ペンダント、マテバ、そしてウィングバッジ。他にもたくさんの物がその下に埋まっているようだ。

「・・・ほほ〜う、これが答えかね。ワトソン君」
 HIROKIが額に青筋を立てて聞いてくる。
「犯人って・・・確かにある意味、内部の者でしたね・・・」
 僕の方は脱力していた。まさかこんな結末だとは・・・。
 だが、隣のHIROKIからは尋常じゃない殺気が発せられている。

 ざ・・・

 HIROKIが一歩を踏み出す。同時に、穴にブレスレットを放り込んだレスター君がHIROKIの殺気に気付いてビクッとした。

 走り出すのは、同時。
 レスター君が文字通り尻尾を巻いて逃げ出す。HIROKIは低い姿勢でダッシュしてマテバを拾い上げ、そのまま走りながら発射。
「お前かぁぁっ!!」
 マシンガン並のファニング。だが、レスター君は華麗に避けてさらに逃げる。
「HIROKI落ち着け!基地内で発砲するなんて!!」
「装填してたのはゴムスタン弾だ!次は実弾で仕留める!!」
「余計駄目です!」
「安心しろheric。撃ちまくって足止めしてやる!」
「だから駄目ですってば!」
 HIROKIが銃を構え、あわてて僕は後ろからはがいじめにする。午前中と同じ風景。ただ違う事は、目の前に事件の真実が放り出されたと言う事だ。
 悲しくなって来た。逆上しまくったHIROKIのわめき声を聞きながら、僕は真実とかいうやつの無慈悲さを実感した。


【 2010年、1月9日、12:20PM 】
 管制塔裏。

「こっちに走っていったと思うんだが・・・」
 みぃとろは立ち止まって辺りを見回し、管制塔の裏の地面に小さな穴がある事に気付いた。
「あれ・・・かな?」
 雑多なものがいろいろと埋まっている。ここに来て、ようやく事件の全容が把握できた。
 犯人はレスター君だった。キラキラした物か何かを集める性癖があったらしい。彼なら、基地内を自由に歩けるし、まず疑われない。
「さて・・・っと」
 埋まっている物を掘り出す。サイフ、レンチ、ウィングバッジ・・・これはhericのか。ブレスレット、スパナ、ペンダント・・・これはあいすまんのだ。
 そして穴の一番奥に、おそらく基地で最初の盗難品があった。みぃとろはそれを拾い上げ、土を指で払う。
「ようやく・・・だな」
 みぃとろの顔が安堵の色で満ちる。探し物は見つかった。

「あったか?」
 いつの間にか、あいすまんが後ろに来ていた。
「ああ、見つかったよ」
 ペンダントを手渡す。あいすまんはそれを受け取ると、大事そうにジャケットの内ポケットにしまった。
「かけないのか?」
「大事なものだからな」
 あいすまんらしい。アクセサリーなんて柄じゃないが、思い出を引き出しの奥に閉じ込めるのも嫌なのだろう。
「俺のペンダントはともかく・・・」
 あいすまんはためらいがちに口を開く。
「そっちの無くし物はどうだった?」
「・・・見つかったよ。ちょっと泥だらけだけど」
「そうか、よかったな」
 無くしたのは私だが、戦友は自分の事のように胸を撫でおろした。

 どこかで喚き声と犬の鳴き声が聞こえる。
 声の方を見ると、滑走路でレスター君とheric達が追いかけっこをしていた。正確には、hericは興奮したHIROKIを止めようとしているらしい。
「あいつらはいいなぁ・・・楽しそうで」
 思わす本音が出た。
「若いってことさ。・・・成長してもらいたいところもあるが」
 それを言うなよ・・・。

 私は軽くため息をつき、手の中に戻ってきた探し物、小さな写真立てを見つめる。
「元気かな、スナイパー達」
「さあな。ま、犬に困らされる事はさすがに無いだろ」
「そうだね・・・」
 写真の中の僕達、15年前のみぃとろ、あいすまん、スナイパー、アッシュ、Cielの五人は、本当に屈託の無い笑みをカメラに向けていた。


 もう戻ってこない。あの日。


−−−−−−−−−−−−−End
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