ACECOMBAT4 ENDURING FIGHTERS
No.92
- 1 ゼネラル・マーシュ 2006/01/11 Wed 01:15:14
- エースコンバット4 エンデュアリング・ファイターズ
ーーー序奏
空の青い日。
ジョンとアレックスと共に高校の部活動を終え、帰宅する途中だった。
ふと、空を見上げると遥か上空で多くの戦闘機が空中戦を繰り広げていた。
勇壮で美しい空の戦い。 2人はそれが自分達とは無縁の事だと確信していた。
しかし、急に上空から煙を吐いた戦闘機が低空でこちらに飛行してくる。
その背後にはエルジア軍機が、逃げる連合機を撃ち落す為、猛烈な追撃を続けている。
逃げる機が彼らの真上の通過するその瞬間、追跡する機の機関砲が火を噴き、逃走する連合軍機にとどめを刺す。
機体の残骸と機関砲の銃弾が彼ら2人を襲う。
ジョンは気が付くと機体の残骸の下に埋もれていた。
上空では黄色で「7」と書かれた戦闘機が旋回し、再び戦線に向かってゆく。
ジョンはすぐにアレックスを探す。
しかし、ジョンが見たのは銃撃と残骸の破片で負傷し変わり果てた親友の姿だった・・・
1年後、ジョンは年齢を誤魔化しIASF(独立国家連合軍)の空軍に入隊。
彼は「黄色の7」の存在を今でも忘れていない。
そして、親友を死に追いやった犯人の存在も。
- 2 ゼネラル・マーシュ 2006/01/11 Wed 02:21:13
- 第1話 「未来への撤退」
2003年。 エルジア軍、中立都市サンサルバシオンに侵攻。
同時に対隕石砲”ストーン・ヘンジ”を接収。
IASF、エルジアに宣戦布告。
IASF、ストーン・ヘンジに空爆を試みるが部隊全滅。
IASF、大陸を放棄。 ノースポイントへと撤退。
・・・そして、2004年。
IASF第4艦隊はコモナ諸島で補給。 再び退却地点ノースポイントへ向かう。
しかし、空母を中心とする大規模な艦隊を見逃すほどエルジアは甘くはなかった・・・
第4艦隊所属の早期警戒機「ストーン・ヘッド」が接近するエルジア爆撃機を確認。
ノースポイントの防衛の任に就いていたIASF第3航空師団の「レイピア部隊」のEグループにスクランブルがかかる。
第4艦隊支援の為、5機編成のF−16が急行していた。
分隊長は「ジョン・クライン少尉」。
「こちら第4艦隊旗艦アドミラル・ミルハウスト、エルジア軍機が急速接近中!」
エルジア軍は空母を中心とした第4艦隊に爆撃機を差し向けていた。
「こちらレイピア5、じきに到着する! それまで持ちこたえてくれ!」と、ジョン。
エルジア軍のB−52爆撃機とその護衛機が第4艦隊に群がる。
「爆弾を投下する前に墜とせ! 攻撃開始!」
空母と6隻の護衛艦が交戦状態に入る。
「敵の中にSU−25攻撃機がいるぞ!」
「対艦ミサイルで武装している!」
4機のSU−25が低空飛行で対艦ミサイルを発射する。
「艦載機の発進を急がせろ!」
「8発の対艦ミサイルが接近中! ファランクス、射撃開始!」
空母に取り付けられた”ファランクス”自衛機関砲が、迫り来る対艦ミサイルに雨のような弾丸を浴びせる。
空母を狙っていたミサイルは全て落とされたが、上空からの爆撃で護衛艦が犠牲になる。
「艦尾に命中!浸水した! 総員退艦せよ!」
「駆逐艦ビアッティ、沈没!」
被弾した駆逐艦が船尾から海中へと消える。
「こちら駆逐艦レイナード、生存者の救助に向かう。」
「空母上空に爆撃機!」
上空にエルジアの爆撃機の姿。 しかし、爆弾は投下されず、爆撃機は突如飛来したミサイルで葬られる。
「こちらレイピア5!敵機撃墜!」ジョンの乗るF−16が凄まじい速度で空母上空を通過する。
「レイピア5から全機へ、まだ9機の爆撃機がいる!散開して攻撃する!」
「レイピア13、了解!」
「レイピア24、了解。」
エルジアのMIG−21が彼らを出迎える。
「敵の”フィッシュヘッド”だ! 護衛機は俺が片付ける、他は爆撃機を!」
ジョンは敵機の正面からミサイルを撃ち込み、反撃の隙を与えずに墜とす。
「レイピア13、フォックス2!」
ジョンが護衛機の相手をしている間に寮機が爆撃機を撃退していた。
爆撃機が次々と海面に墜ちてゆく。
「こちらスター1、ようやく準備できた!これより発艦する!」
空母アドミラル・ミルハウストから4機のF−4が発進し、ジョン達に加勢する。
やがて、敵は形勢不利を察知し退脚を開始する。
「こちらストーン・ヘッド、敵部隊は敗走!我々の勝利だ!」
- 3 ゼネラル・マーシュ 2006/01/12 Thu 19:47:05
- 第2話 「突きつけられた短剣」
ーーー2004年。
エルジア軍は占領した「リグリー飛行場」に爆撃機を集結させ、ノースポイントへの攻撃準備を進めている。
ジョン・クライン少佐を含むレイピア、オメガ、の2個小隊と新鋭の「メビウス1」、合計5機のIASF空軍が、空中管制機「スカイ・アイ」指揮下でリグリー飛行場へと向かっていた
「こちらスカイ・アイ。 リグリー飛行場まで30マイルだ、送電線に向かって飛べ! 爆撃機はお昼ね中だ、一網打尽にしろ!」
編隊の一番右を飛行するジョン。 そして、2機のエルジア航空機が接近する。
「お出迎えだ! レイピア5、エンゲージ!」
「ようし、敵機は我々に任せろ! レイピア5、後に続け。 レイピア1、交戦」
「オメガ2、エンゲージ!」
「オメガ4、エンゲージ!」
レイピア飛行隊隊長、ウォーカー中佐とジョンのF−16が敵のmig−21と刃を交える。
ジョンが敵機の後方をとる。
「ロックオン! レイピア5、フォックス2!」
ミサイルが命中し、敵のフィッシュベットが地上へと墜ちてゆく。
ようやくエルジアのリグリー飛行場も彼らの接近を確信し。
「(こちら管制塔!スクランブルだ! 連合軍機が接近中!)」
基地格納庫から次々と戦闘機が姿を現す。
「(これは演習ではない!繰り返す! これは演習ではない! ホワイト2!第1滑走路へのタキシングを許可する! 滑走路に入り次第離陸しろ!)」
その光景を見たウォーカー中佐が無線に向かって叫ぶ。
「気をつけろ!敵機が離陸中!」
「スクランブル機に注意!」
「レイピアへ!地上は任せる、こちらは空の敵を狙う!」
オメガの2機が散開する。
ジョンのF-16が地上の敵機へ機銃掃射を開始し、格納庫もついでに爆弾で吹き飛ばす。 たちまち格納庫内の敵機はこんがり焼き上がるだろう。
メビウス1が敵爆撃機を攻撃し、上空ではオメガが敵戦闘機と奮戦して、地上ではレイピアが敵機の離陸を防いでいる。
ウォーカー中尉が飛行場の端に地対空ミサイルを見つける。
「敵の対空砲に注意しろ! レイピア5! 3時方向にSAMだ!破壊しろ!」
そのSAMがジョンのF−16にミサイルを放つ。
「レイピア5!ミサイル!ブレイク!」
「くそ!ミサイルアラート!」
と、叫ぶと同時に回避行動に移る。 ブラックアウト寸前の急旋回でミサイルを何とか回避し、飛び抜けて行ったミサイルが前方で爆発する。
「レイピア5、後方に敵機! 回避しろ!」
2機のミグが追撃を続け、ジョンのF−16に危機が迫る。
「撃ってきた! 旋回して回避する!」
2機のミグが機銃で襲い掛かる。 まるで食らいつくかのように。
しかし、そのさらに後ろにはレイピア1が。
「ケツに食らいついた! レイピア1!フォックス2!」
ミサイルが白い線を描き、敵のミグを叩き落す。
敵の追撃から逃れたジョンが反転し、攻撃位置につく。
「もらった! レイピア5! フォックス2!」
上昇して回避を試みた敵機はあえなくミサイルの餌食となり、脱出したパイロットのパラシュートが開く頃には、機体の残骸が地上の爆撃機の真上に落ち、爆撃機を巻き込んで爆発した。
「(こちらリグリー飛行場!爆撃機は全滅!繰り返す・・・)」
5機のIASF機が集合し、再び編隊を組む。
「スカイ・アイへ、こちら攻撃部隊。 任務完了、帰還する。」
デブリーフィングで聞くまでもなかったが、作戦は成功し、これでノースポイントへの空爆を阻止できた。
噂によると、エルジアの無敵艦隊「エイギル艦隊」がノースポイントに迫っているらしい。 これはIASFにとってかなりの脅威で、この兵力で攻め込まれれば連合の敗北は決定的だと言われている・・・
- 4 ゼネラル・マーシュ 2006/01/13 Fri 20:03:13
- ーーーーーIASF ノースポイント アレンフォート飛行場。
「・・それで、少尉の幼馴染は”黄色の7”に撃たれて・・・」
「大体そんなとこだ、奴が市街地の真上で容赦なく銃撃してきた。」
ジョンクライン少尉と、そのウイングマン・レイピア7の”アレン・ハント”軍曹が基地の食堂で食事と雑談を同時にこなしていた。
「しかし、それはただの事故ではありませんか?」
アレンの発言に顔をしかめるジョン。
「奴が俺の友人を殺した。 その事実は変わらない。」
ジョンは昼食を済ませ、テーブルに置いてあったグロック・ピストルを腰に戻し、そのまま席を立つ。
ーーーーー 第3話 「100万バレルの生命線」
「諸君、ブリーフィングを開始する。 全員着席してくれたまえ。」
アレンフォート飛行場に駐留する”オコンネル将軍”が作戦会議を仕切っている。
「今回の作戦は敵の石油化学コンビナートを空襲し、石油の生産能力を20%以下にすることが目的だ。 コンベース港への燃料供給を断てば敵の侵攻作戦を遅らせることが出来ると同時に、エイギル艦隊の機動力を奪うことが可能だ。 解散。」
ジョンの所属するレイピア分隊はレイピア1のウォーカー中尉と、レイピア7のアレン軍曹、レイピア2のジョルジュ少尉で構成されている。
本作戦に参加したのは、オメガ飛行隊所属機が2機、ヴァイパー飛行隊所属が2機、単機のメビウス1、レイピアが4機。
レイピアは皆F−16。 途中で空中給油を受け、石油化学コンビナートを目指す。
「作戦開始。 2手に分かれて目標を攻撃せよ。 可能なかぎり損害を与え、施設の機能を低下させろ」
空中管制機のスカイ・アイの管制下、攻撃作戦が開始された。
「アレン、ジョルジュ、お前達は海上油田に向かえ、備蓄施設は俺とジョンで片付ける。」
そして、”エンゲ〜ジ!”と無線に向かって歪んだ声で叫ぶウォーカー中尉。
「レイピア5、交戦。」後に続くジョン。
「レイピア7、エンゲージ!」
そこにジョルジュ少尉が。
「レイピア2から全機、俺は迎撃機が来る方に晩飯を賭ける。」
「こちらレイピア7、自分は来ない方に賭けます。」と、アレン。
ジョンとウォーカー、オメガ1、ヴァイパー3の4機が備蓄施設を肉眼で捕らえる。
「レイピア1、フォックス2!」
正面から歓迎に出てきた敵の”ミラージュ”戦闘機にミサイルで返礼するウォーカー中尉。 敵のミラージュがミサイル回避の為に側面を見せたとこに機関銃を撃ち込む。
「イヤッホー!」
ウォーカー中尉は機体をロールさせながら空を駆け抜ける。
一方で、オメガとヴァイパーは備蓄施設に爆弾をぼとぼと落としている。
「ケツに食らいついた!」
ジョンはガンサイトで機銃の狙いを定めると同時にトリガーを引き、機銃でMIGを粉砕する。
「ジョン、何機落とした?」指揮官のウォーカー中尉がジョンの戦果を尋ねる。
「3機です、中尉殿!」
「俺は4機だ! SAMも3つ潰した。」
「中尉はこれで撃墜合計が5機。 ”エース”の仲間入りですか!」
ジョンとウォーカーが雑談している最中にスカイ・アイから連絡が入る。
「コンビナートは活動を停止。 作戦成功だ。」
しかし、レーダーには新しい機影が。
「!?敵機を視認! 黄色い機体が5機・・・」
「おい!冗談だろ!」
黄色い5機のSu−37”スーパーフランカー”が、逆V字形体で迫る。
「(黄13より全機、IASF機を始末しろ。)」
「(了解、撃墜します。)」
5機のフランカー、別名”ターミネーター”が散開し、連合軍機に攻撃を仕掛けてくる。
「黄色中隊は”ストーンヘンジ”を守っているんじゃなかったのか!?」
「武器を全部捨てる! 機体を軽くして逃げるぞ!」
ターミネーターがIASF機に向かってミサイルを放つ。
「誰かやられたぞ!」
「くそ! ジョルジュ少尉が! レイピア2が撃墜された!」と、アレンが叫ぶ。
「スカイ・アイより全機、交戦は不許可、直ちに離脱せよ。」
「ミサイルが! 駄目だ! 脱出する!」
アレンのF−16も火を噴き、海面へと墜ちてゆく。
「レイピア7がやられた! うっ! こっちも食いつかれた!」
「一体何機やられた!」と、ウォーカー中尉。
黄色中隊の前に、連合軍機が次々と落とされてゆく。
生き残ったのはごくわずか。
当初の目的を果たすことは出来たが、連合も多数の航空戦力を失った。
そして、作戦中に脱出したアレン軍曹は自力で(正確にはレジスタンスの助力で)帰還を果たしたが、ジョルジュ少尉は2度と戻らなかった。
ウイングマンの死は、兄弟が死んだのと同じようなものだ。 常に一緒で、共に飛行してきた仲間がまた消える・・・
いつまでこんな戦争が続くのだろうか・・・
- 5 ゼネラル・マーシュ 2006/01/14 Sat 17:03:19
- 「おい!駆逐艦のSAMが生きているぞ!」
「ミサイルアラート! 脱出する!」
IASFの航空機20機がコンベース港に停泊する「エイギル艦隊」の封殺に乗り出していた。
「編隊を解け、散開して造船所に向かうぞ!」
F−15に乗り換えたウォーカー中尉とレイピア中隊も参加していた。
ーーーーー第4話 「無敵艦隊封殺」
「こちらレイピア10、対空砲火だらけだ! 敵艦隊攻撃どころじゃねえよ!」
うろたえる新人”マーク伍長”に向かってウォーカー中尉は冷静に指示を出す。
「ミサイルはレーダーに映る、落ち着いて回避しろ。 何もためらうなよ?」
眼下には港から脱出しようとするエイギル艦隊所属の艦船が何隻か見える。
艦隊の中心に位置する航空母艦から艦載機が発艦しつつある。
「よし、造船所が見えてきた! 爆撃準備!」
「全機、集合し高高度爆撃の準備だ!」
ウォーカー中尉とジョンを中心にレイピア中隊の所属機が編隊を組む。
対空砲火が届かない高度から爆撃をする手筈だった。 しかし、エルジア軍機が彼らを追撃する。
「6時方向に敵機!」
「こちらレイピア1、構うな! 爆弾投下!」
ウォーカー中尉のストライク・イーグルから無誘導爆弾が投下され、他の隊員もそれに続く。
「投下!投下!」
停泊する給油艦やタンカーに爆弾が命中し、港はたちまち火の海と化す。
彼らを追跡していたエルジア戦闘機がミサイルを放つ。
「撃ってきた! 回避!」 フレアーを撒き散らしながら回避行動をとる寮機。
ジョンのF−15が敵機の真上に出る。
「レイピア5、フォックス2!」
ミサイルは外れ、海面に水柱を作る。
ジョンは敵機に接近し、真上から機関銃を撃ち敵機を蜂の巣へと変える。
「見ろ、港に敵空母が見える!」と、ジョン。
「逃がすな! 大物だ、確実に叩き潰すぞ!」ウォーカー中尉は自機を降下させる。
彼らを出迎えるように停泊する艦隊から対空砲火が吹き上がる。
ウォーカー中尉はすぐさま散開の指示を出す。
レイピアの4機が敵艦隊上空を駆け抜け、爆弾を投下してゆく。
「レイピア9からレイピア1へ、爆弾無し、補給に戻ります。」
「分かった、離脱を許可する。」と、中尉。
「被弾した!制御不能!墜落する!」
「レイピア15がやられた! 中尉、応援を要請しましょう!」と、ジョン。
ウォーカー中尉は応援を要請するが、他の戦闘区域も敵の攻撃が激しく、とても応援は期待できなかった。
「俺達だけで片付ける、攻撃続行!」
ウォーカー中尉は敵フリゲート艦のブリッジに爆弾を叩き込み、沈黙させる。
そこに、味方からの無線が。
「こちらヘイロー中隊、無線を傍受した。 これより敵艦への攻撃を開始する。」
4機のミラージュ戦闘機が加勢、爆弾を装備し、それらで敵艦を攻撃する。
護衛が少なくなってきた敵空母へ攻撃を仕掛けるジョン。
「射程に入った!射撃開始!」
ジョンのF−15が空母の甲板で発艦準備をしている艦載機を銃撃。 敵艦載機は炎上し発艦を阻止した。
更に上空からウォーカー中尉が急降下してくる。
「プレゼントだ! 受け取れ!」
空母のど真ん中に爆弾を命中させ、甲板に大きな穴が開く。
「とどめを刺すぞ!」
レイピアとヘイローの航空機が爆弾を敵空母に投下し、空母を沈黙させる。
「こちらスカイ・アイ、敵艦隊は海に沈んだ。 作戦終了、全機帰還せよ。」
同時に他の区域で戦闘していた部隊も引き上げてゆく。
レイピア部隊が空で集合する。
そして、新人のマーク伍長が無線越しに歌い始める。
(o'er azure skies and emerald prains)
『”空と緑豊かな大地が広がる”』
(Where freedom and justice prevail with courage and strenght)
『”この地には勇気と力強さに溢れた 自由と正義に満ちている”』
(We'll fight to the ned for liberty in our land)
『”我らは最期まで戦う 我が祖国の自由の為に”』
「えやっはー!」
飛行機雲をひきながらマーク伍長のF−16が空を駆け抜ける。
デブリーフィングでは「久々の大きな勝利に我が軍の士気は高まっている」と、報告を聞いたが、既に士気の高い仲間が増えていた。
これはいいことだ。
- 6 ゼネラル・マーシュ 2006/01/15 Sun 20:14:35
- ーーーーー第5話 「ソラノカケラ」
ユージア大陸中央にある都市、”サンサルバシオン”。 郊外には建設中の高速道路を利用した”黄色中隊”の野戦滑走路があった。
今、滑走路から5機の黄色中隊機が飛び立った。
精鋭揃いの部隊として、連合軍から恐れられていた黄色中隊だが、最近では敵襲もなく出撃回数も減り、熟練者は他部隊に引き抜かれていく。 飛行経験の浅い新人ばかりが補充され、弱体化が進む一方だった・・・
連合軍は大陸での作戦を補助する為に、コモナ諸島から偵察衛星を打ち上げる。
しかし、エルジア軍はそれを察知し、大量の制空戦闘機を送り込んでいた。
「作戦遂行中の全機へ、こちらコモナベース。 打ち上げのチャンスは今しかない! 打ち上げまで制空権を守ってくれ!」
コモナ諸島にあるロケット打ち上げ基地上空では、無数の戦闘機が入り乱れていた。
レイピア中隊も作戦に参加していた。
「こちらレイピア1、散開して対処にあたれ。」
「了解! レイピア5、交戦。 ・・・物凄い数だ」ジョンはこれほど大規模な空中戦は初めてだった。 操縦桿を握る手が微妙に震えている。
「レイピア7、エンゲージ!」
「レイピア10、エンゲージ!」
アレン軍曹とマーク伍長も続く。
この空域は敵だらけだった。 よく見ると、黄色い機体が微妙に見える。
「気をつけろ! 黄色中隊がいるぞ!」
敵の群れの中に黄色中隊の混ざっている。敵軍もこの作戦を阻止するのに必死だった。
「レイピア4、2機に狙われているぞ! 回避しろ!」
「メイデイメイデイメイデイ! こちらレイピア4! やられた! 操縦不能!」
「ルーキーは黄色に近づくな!」
ここの風景は美しい。 しかし、背景に似合わず激しい空中戦が続いている。
連合に対してエルジアの航空戦力は3倍以上あるらしく、連合軍気1機に対して複数の敵機が群がる状況だった。
敵機を追うことに夢中だった、レイピア10のマーク伍長の背後には3機の敵機が。
「ちきしょう! いつの間に! 誰か援護してくれ!」
その無線を拾ったジョンはすぐさま方向を変える。 辺りを見回すと、敵機だらけだった。 ようやく3機に追われているマーク伍長のF−16を発見した。
「待っていろ! 今助けに行く!」
ジョンのF−15が敵機や弾幕をかいくぐり、仲間のもとへと急行する。
「射程に入った! ロックオン!」
マーカーが赤く染まり、ロックオンしたのを確認するとジョンは発射ボタンを押す。
「レイピア5、フォックス2!」
1機撃墜する。 更にミサイルをロックし、発射。
マークが敵機を振り切ったのを確認すると、ジョンは再び別の敵を探す。
「こちらレイピア5、隊長、敵は既に発射基地まで到達しています!」
「敵は対空ミサイルしか積んでいない、今は制空権の維持に全力を尽くせ!」
突然、コクピット内に警報が鳴り響く。 後方に黄色中隊の7番機が迫る。
「黄色の7・・・あいつか!」
ジョンは機体を左右にバンクさせ、ありとあらゆる回避行動を行うが、機動性で勝るターミネーターの追撃を振り切ることは出来なかった。
もう駄目だと思った瞬間、黄色の7にミサイルが命中する。
「黄色が煙を吐いている!誰がやったんだ!?」
ミサイル被弾により姿勢を崩しつつも機体を安定させ、7が他の黄色に叫ぶ。
「(くそ!どいつにやられたんだ!? 今俺を撃った奴を確認してくれ!)」
「(リボンのエムブレムだ)」
黄色中隊はそのまま戦場を離れる。
「全管制官へ!打ち上げ最終チェックを急げ!」
地上の打ち上げ基地ではロケット発射準備の真っ只中だった。
「打ち上げまで、あと5分」
ウォーカー中尉のF−15はミサイルを切らしたようで、機銃で応戦している。
「こちらレイピア1、敵部隊は劣勢。 全機、攻撃を続行せよ!」
最初に比べれば、敵機の数は確実に減っている。
「最終チェック完了、発射60秒前。」
発射基地ではロケットが熱蒸気を吹きながら発射を待ちわびている。
ジョンは敵のMig−29の背後を取り、機銃のガンサイトが敵機に重なると同時に引き金を引き、機銃掃射をかける。
銃撃により翼が割れ、飛行不能に陥った敵機は紙切れのように墜ちてゆく。
「こちらレイピア5、弾薬の残りが少ない。 打ち上げはまだか?」
「こちらコモナベース。 発射10秒前。 IASF機は安全なエリアに退避せよ。 カウントダウンを開始。 10、9,8,7,6,5,ブースター点火! 3,2,1、リフトオフ!」
ロケットが徐々に上昇を開始する。
「おお!いいぞ!」連合パイロット達がその光景を見て歓声をあげる。
「全システム、良好。」
ロケットは順調に空へと昇ってゆく。
「ロケットは高度4万フィートに到達した、敵はもう手を出せないだろう。 君達のお陰で打ち上げは成功だ!」
やがて、ロケットは空の彼方へ消える。
- 7 ゼネラル・マーシュ 2006/01/16 Mon 18:52:31
- ようやくIASFは軍の再編成が完了し、「バンカーショット作戦」で上陸作戦を敢行。 見事作戦は成功し、続いてタンゴ線にある「イスタス要塞」を攻略。
そして、連合軍は遂に「”ストーン・ヘンジ”」の攻撃作戦に乗り出す・・・
ーーーーー 第6話 「ストーン・ヘンジ攻撃」
「ジョン、お前はとことん運がいいな。」
ストーン・ヘンジ攻撃の為に、少数のIASF航空機が空中給油を受けていた。
「ジョンが居ない時に限って”ストーンヘンジ”がぶっ放してくるんだぜ?」
と、コクピット越しにウォーカー大尉がジョンに愚痴る。
「・・・偶然ですよ、大尉。 でもそのお陰で昇進できたのでは?」
「まあな・・・だが! 今回は”ストーンヘンジそのもの”を攻撃する! ジョン、お前もアレに撃たれてみろ。 びびるぜ。」
遥か後方で待機している空中管制機、スカイ・アイから通信が入る。
「これまで多くの英雄がストーン・ヘンジによって散っていった。 そろそろ新しい英雄が必要だ。 全機、必ず生き残れ。 幸運を祈る」
先頭を飛行するオメガ部隊所属機のパイロットが叫ぶ。
「ストーンヘンジが撃ってくるぞ! みんな高度を下げろ!」
その直後、彼らの真後ろで空間がゆがむ。 ストーンヘンジの砲撃だ。
その光景を見たジョンは「あれに撃たれるのは願い下げだな・・・」とつぶやく。
「目標までの距離は確かか? でかいな。」と、ウォーカー大尉。
ストーンヘンジに隣接する飛行場から敵戦闘機がスクランブル発進している。
さらに、ストーンヘンジ周辺には多数の対空火器が配備されている。
「レイピア1から全機、散開するぞ!」
すると、1機の味方機がストーンヘンジ中央に急降下し、レーダー妨害装置を潰す。
「レーダークリア。 全機、攻撃を開始せよ!」
スカイ・アイの通信と同時に他の味方もストーンヘンジに攻撃を開始する。
ジョンも早速ストーンヘンジにミサイルを放つ。 しかし、まだ打撃が足りない。
「頑丈に出来てるな、爆弾を惜しむなってことか?」
「レイピア1からレイピア5へ、ありったけの弾薬をプレゼントしろ!」
ウォーカー大尉は敵機の相手をしながら、爆弾で対空火器を狙っている。
8機のストーンヘンジの中の1機が上空の味方機に向かって砲撃し、凄まじい衝撃と轟音が鳴り響き、味方機が煙を吐く。
「こちらオメガ4! やられた! みんな後を頼む!」
「レイピア1から全機へ、ストーンヘンジの砲塔の角度に注意しろ!」
すると、先ほどレーダー妨害装置を破壊した味方がストーンヘンジの1機を破壊する。
尾翼にねじれたリボンマーク。 ”メビウス1”だ。
「メビウス1がターゲットを1つ破壊した!」と、味方の誰かが無線で報告する。
そのメビウス1がストーンヘンジに向かって再び攻撃を加える。
「いいぞ!メビウス1!叩き潰せ!」
「すごいぞ!あいつ1人でやっちまう!」
そして、最後の1機を破壊する。
「ターゲット沈黙!」
「目標破壊!繰り返す!メビウス1が目標を破壊した!」
破壊したストーンヘンジ上空で旋回する連合軍機。 そこに、管制機から通信が入る。
「こちらスカイ・アイ、目標の破壊を確認。 だが、ただでは帰してもらえないらしい。 5機の機影がマッハ2で接近中。 問題ない、こちらのエースは奴らより早い、交戦を許可する。」
5機のSu−37がV字編隊でこちらに向かってくる。
「こちらレイピア1、先頭の奴を集中攻撃する。 全機続け!」
IASF機が束になって黄色中隊機に挑むが、歯が立たない。
「ヴァイパー7!後ろに黄色だ!」
Su−37がミサイルを放ち、連合機が落とされる。
ジョンの背後にも黄色が迫る。 しかし、今度は「7」ではなく、「4」だった。
「くそ!こちらレイピア5!狙われている!援護を!」
ロックオン警報の直後にミサイルアラートが機内に鳴り響く、ジョンは出力全快で急上昇し、ミサイルを回避する。
続けざまに「4」が機関砲で至近距離攻撃を加えてくる。 黄色の4が放った銃弾がジョンのF−15のエンジンに命中する。
「撃たれた!左エンジン停止!現在片肺飛行中!」
左エンジンから煙を吐きながら回避行動を続ける。 しかし、エンジンの片方を失ったジョンのF−15は失速し、空中で静止。 しかし、黄色の4がジョンを追い抜く。
「真正面だ!もらった!」
ジョンが引き金を引き、銃弾が黄色の4のキャノピー周辺に命中する。
その直後、”メビウス1”が放ったミサイルが黄色の4に命中した。
「(黄4、脱出しろ!)」
「(こちら黄13、誰か黄4の脱出を見た者はいるか?)」
その交信を最後に黄色中隊は撤退してゆく。
「こちらスカイ・アイ、黄色中隊機の撃墜を確認した。 我々の完全勝利だ!」
ジョンはなぜか悲しい気分がした。
- 8 ゼネラル・マーシュ 2006/01/17 Tue 16:15:57
- 2005年。 サンサルバシオン郊外。
「司令部へ、こちらトライデント4。ターゲットと無事合流した、これより帰還する。」
「了解、直ちに敵対空域から離脱せよ。」
1機のブラック・ホークヘリコプターが真夜中の空を飛行する。
「ノーム幽谷を抜けて、敵の裏をかく。」
「おい!地上に敵の偵察車両だ!」
「駄目だ!もう見つかった! ・・・っ!燃料タンクに被弾!緊急着陸する!」
ーーーーー第7話 「守護」
「3時間前、我々のスパイが搭乗したヘリからの通信が途絶えた。 衛星画像ではヘリはノーム幽谷に不時着し、敵陣の奥に取り残されたようだ。」
IASF前線基地のイスタス要塞でレイピア中隊はブリーフィングを受けていた。
「既に我々の地上部隊がノーム幽谷の救出地点に向かっている。 諸君は救出部隊を上空から支援してもらいたい、ここは地形上の問題でヘリを派遣することが不可能だ。」
イスタス要塞 サイオン飛行場
「今回は護衛任務だ、あらゆる事態に対応できるようにしておけ。」
ウォーカー大尉が出撃前の確認を行っている。
そこに、マーク伍長が首を突っ込む。
「大尉、何故ノーム幽谷(ゆうこく)のような場所に墜ちたんです?」
「敵の防衛線が薄いからだ。 スパイを迎えにいく際、敵に察知されないようにな。」
ノーム幽谷
2両のエイブラムス戦車と4両のハンヴィーが幽谷の谷間を進んでいた。
「こちらブラック・アロー。 もうすぐ合流地点だ、オーバー。」
「こちらレイピア1、了解した。 上空を警戒する。」
IASFの戦車がカタカタと音を立てながら目標地点を目指す。
「凄い霧だ、トライデントの連中はこんなとこを飛んでいたのか・・・」
突然、目の前に人影が出現し、戦車が急停車する。
「撃つな!トライデントだ。」
4名のヘリ乗員とスパイはここまで進んで来ていたようだ。 すぐさまトライデントたちがハンヴィーに乗り込む。
「こちらブラックアロー。 目標を確保、撤退開始。」
数分後、空から笛を吹くような音がノーム幽谷に鳴り響く。 同時に爆音が。
「こちらブラックアロー!敵襲だ!戦闘態勢!」
戦車とハンヴィーが加速し、帰還を急ぐ。
「レイピア5からレイピア1へ、レーダーに敵攻撃機を探知!」
Su−24”フェンサー”攻撃機が地上部隊に殺到する。
「レイピア7、交戦。」
アレン軍曹が敵の攻撃機の迎撃に向かう。 敵は13機、レイピアは4機。
相手は攻撃機と言えど、不利なのは目に見えている。
「こちらレイピア10。 レーダーに更に反応!ヘリです!」と、マーク伍長が報告する。
やってきたのは”ハインド”ヘリコプターだった。
「敵は何故ここまで必死なんだ!?」ジョンは不審をとなえる。
「あのスパイが何か重要な情報を奪取したんだろ?」と、ウォーカー大尉。
ハインドから放たれたミサイルが最後尾の戦車に命中し、戦闘不能に陥る。
「こちらブラックアロー! 戦車が1両破壊された!上の攻撃機を何とかしてくれ!」
ウォーカー大尉がアレンとマークにヘリの迎撃を指示する。
2人はすぐさまヘリの攻撃に入り、ミサイルで敵ヘリコプターを排除している。
「こちらレイピア7、ハインドを排除しました。これより敵攻撃機の掃討に移ります」
しかし、レーダーには更に敵の増援部隊が。
「んあ?!何だ!?爆撃機だ!」
ウォーカー大尉が迫り来る8機のTu−95”ベア”を確認した。
「(おい!IASFの護衛機がいるぞ!)」
「(構うな!敵スパイが乗っている車両を破壊するのが最優先だ!)」
マークとアレンは攻撃機で手一杯だ。 ジョンとウォーカーは爆撃機の迎撃に向かう。
「後ろにはタレットが装備されている、機銃で撃たれないように真正面から攻撃する」
「了解レイピア1。」
正面から2列でベアが地上部隊に迫る。
「レイピア1、フォックストゥ!」
「レイピア5、フォックス2!」
ジョンとウォーカーのF−15から発射されたミサイルが戦闘の2機を粉砕する。
「ミサイルの無料配達だ!受け取れ!」
ウォーカーが更にミサイルを放ち、ベアを空飛ぶガラクタに変える。
「撃墜した、残り4機!」と、ジョン。
4機のベアが反転し、引き返し始める。
「よし、後は攻撃機を始末する!」
ウォーカーとジョンは地上部隊の護衛に戻る。
「ロックオン!レイピア1、フォックス2!」
マークと空中戦を行っていたSu−24の側面からミサイルを叩き込む。
「イヤッホウ!」
ジョンも敵機の背後を取り、機銃で最後の敵攻撃機を葬る。
「こちらブラックアロー、敵はもう居ないようだな。護衛に感謝する!」
ノーム幽谷から抜けると、IASFの大型輸送機”グローブマスター”が平地で待機していた。
そして基地に帰還後、スパイが奪取した情報の詳細が報告される。
その内容は、敵が”ストーンヘンジ”に代わる最終兵器「メガリス」の設計図だった。
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