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AC・ОSbyスナイパー「スカイウィングス」パート3

前スレッド No.81
19 スナイパー 2005/05/20 Fri 21:28:19
前のスレが終了してしまったので、もう一度ここに第3話の第3章を投稿しておきます。


エースコンバット・ザ・スカイウィングス第3話「交差する思いと砲火の中で」第3章


セント・ヒューレット軍港沖の戦いは終焉に向かいつつあった。
スナイパー率いる援軍の活躍により、攻撃部隊の約6割が無事、基地への生還を果たしたのだ。
残存していた敵機もこれ以上の追撃は無理と判断したのか、早々に撤退していく。
しかし、ユークトバニア第327飛行中隊所属――――白翼の胸中は穏やかではない。
それもその筈、彼の隊長でもあるスナイパーがまだ帰ってこないのである。
(もうそろそろ帰ってこないと基地に帰還てできなくなる・・・・・・・・)
そう、いくらフランカーの燃料搭載量が多いからと言っても限度があるのだ。決して無限ではない。
飛び続けている限り、いつかは燃料はなくなるのである。
そして燃料がなくなった飛行機の行く先は、地面のみである。

「まだ、帰ってこないのか?」
と、アッシュさんの乗るMIG−29が僕のSu−27の隣についた。

「ええ・・・・・アッシュさんもそろそろ戻らないと燃料が危ないですよ。」
そう、ファルクラムの燃料搭載量はフランカーより少ないのだ。アッシュもそろそろ燃料の心配をしなければならないのだ。
しかし、彼はその心配を、

「馬鹿、おまえが待ってるのにのこのこ基地になんか戻れるかよ。」
一言で蹴り飛ばした。それを聞いて僕はフッと笑みを漏らした。
普段はそうは見えないが、アッシュさんも隊長もそれ程までに互いを信頼しあっているのだろう。

「おまえこそ、そろそろ帰ったらどうだ?大分無理している気がするぞ。」

「僕だって、一人でのこのこと帰れませんよ。」
そして、無言の沈黙、普段ならここで隊長が話題を振ったりするのだが、その隊長が今はいない。それゆえの沈黙だった。

「なあ、白翼。」
ややあって沈黙を破ったのはアッシュさんだった。

「何ですか?」
僕はセオリー通り(?)聞き返す。

「・・・・・おまえがこっちの基地に来たのは確か5年程前だったな?」

「・・・・・そうですけど・・・・・・どうしてそんな事聞くんですか??」
そう聞き返しながら僕は内心でアッシュさんの意図を探ろうとする。確か普通こんな状況でわざわざこんな事聞くのは変だ。
何か裏があるのは間違いない――――と考えている僕を尻目にアッシュさんは更に聞いてきた。

「・・・・・そのときのあいつに対しての第一印象ってどんなのだった?」

「えっ、・・・・・まぁ、優しくて親切な人だな。って思いましたけど・・・・・・それがどうしたんですか?」

「いや、なんでもないんだ・・・・・・そうか、優しくて親切・・・・か。」
そのアッシュさんの言葉はやや寂しい感じがしたような気がした。
が、それは同時に思い返してしまった5年前の思い出に流されてしまった。
アッシュさんにも言ったように僕が隊長と会ったのは5年前である。
初めてシュバイツァー基地に来たとき、不覚にも基地内で迷子になってしまい、おどおどしている所に隊長が来て道を教えてもらったのが初めての出会いである。
その事件以来、たびたび基地内で迷子になり、その度隊長に助けられていたので自然と関係が深まってしまったのである。
(読者の皆さんは既にお気づきであると思うが、白翼は重度の方向音痴である。byアッシュ)
今思い出しても恥ずかしい思い出なので最近はなるべく思い出さないようにしているのだが、昔の話になるとすぐに思い返してしまうので、かなり迷惑な思い出と言えるだろう。。
(尚、シュバイツァー基地に配属したての頃の白翼は「迷子の白翼ちゃん」の二つ名で呼ばれていたことを補足しておく。byアッシュ)
と、僕が過去の思い出に愚痴を零していると唐突にアッシュが口を開いた。
20 スナイパー 2005/05/20 Fri 21:28:49
「・・・・・最近のあいつはどこかおかしいんだよ。」

「・・・えっ?」
と、僕は我ながらあきれるほど呆けた声で言葉を返していた。
それと同時に僕はアッシュさんの口調に内心で少し驚いていた。
普段の彼は仕事は仕事で割り切る一面もあるが、基本的に明朗快活である。
部隊のムードメーカーは間違いなく彼であるし、ネガティブな事は日常生活てでは一切言わないのだ。
(その代わり、隊長は激務の連続なのでいつも愚痴を零しているが・・・・・・by白翼の心の呟き)
その彼がこんな哀れむような口調で喋るなんて・・・・・・・・・
そんな事を考えている僕に構わずアッシュはどんどん言葉を吐き出していく。

「前はこんなこと無かったんだ。おまえの言う通り誰にでも優しかったし、親切だったよ。けど、どこか優柔不断な面もあっていつも誰かと一緒に居たり、誰かの後を追いかけていたんだ。それが昔のあいつだ。」

「あの隊長が・・・・・優柔不断?」
正直、これには驚いた。
いつも的確に指示を飛ばす隊長が優柔不断なんて、にわかには信じられない。

「それで、今から10年ぐらい前にここの隊長になってからは少しづつ1人で何かを決めたりすることができるようになってきたんだ。それが・・・・・」

「それが今の隊長・・・・・・・」
僕はアッシュさんの言葉を引き継ぐ。そして勿論、彼もそれを肯定した。

「ああ、俺もあれは良い変化だったと思ってた。けど、最近どうもおかしいんだよ。」

「何がどうおかしいんですか?」

「最近、妙に元気なんだ。普通、こんな戦争が始まったら誰でもうんざりした気分になるだろ?だけど、あいつにはそれが無い・・・・いや隠しているというべきかな。」

「隠している?どうして?」

「判らない。けど恐らく内心では人並み以上に落ち込んでるのは間違い無い。何か秘密があるんだろうな・・・・・・・」
それきり2人とも黙り込んでしまう。僕は少し恥ずかしかった。
隊長のことを判ったように思っていて、実は何も知らなかったことが恥ずかしかった。
いつも微笑んでいたあの笑顔の裏には何があったのだろうか・・・・・・・・解からない。
僕は内心をポツリと呟く。

「僕・・・・・隊長の事、何も知らなかったのかな・・・・・・」
それに対してアッシュさんはタイミングばっちり(?)なフォローを入れてくれた。

「最初から他人の全てを知っている奴なんていないと思うぜ。分かり合おうとするのが友情を深めることなんじゃないか?」

「アッシュさん・・・・・・」
確かにその通りだ。他人の全てを始めから知るなんて事、できるわけが無い。もし出来たとしても、僕はそんな事しないだろう。
もしいきなり全てを知ってしまえば、逆に相手を敬遠したりしてしまうかもしれないから。

「今からでも・・・・・遅くないのかな・・・・・」

「ああ、充分間に合うさ。時間はあるんだからな・・・・・」
そして、三度訪れる沈黙の時、しかし、それは呆気なく終わりを告げることになる。
しかし、それはアッシュさんでも、僕でもなかった。

「こちらガンナー1、しつこい敵がいて帰ってくるのが遅れた。すまない。」

「隊長!!無事だったんですね!」

「この野郎!!心配かけやがって!!」
僕もアッシュさんもありったけの喜びをぶちまけながら、隊長の帰りを祝福した。

「よし、じゃあ帰還するぞ・・・・・・心配かけたお詫びに今日は僕がなにか奢るよ。」

「よっしゃあ!さすが隊長殿!!」
僕はそんなアッシュさんの歓声を聞きながら、機首を基地の方角に向ける。
その時の僕の心の中には先程まで漂っていた雨雲も気配など、少しも残っていなかった。


しかしこの時、僕は気づくべきだったのだ。
僕の心の中から消え去った雨雲が、僕のそれとは比べ物にならない大きい雨雲が
隊長の心の中に漂っていたことを。
21 スナイパー 2005/09/18 Sun 20:54:29
エースコンバット・ザ・スカイウィングス第3話「交差する思いと砲火の中で」第4章


オーシア ソーディウス空軍基地 格納庫前


heric SIDE


最初「それ」を見たとき、何か悪い冗談だと僕は思った。

それもそうだろう。オメガ1こと、あいすまんさんの機体が見るも無残な状態で帰還してきたからだ。
まず右エンジン。ミサイルの爆発を受けたらしいエンジンは本来の役目が果たせない程に損傷していた。
そしてその煽りを受けたらしい右の尾翼もまた完全に吹き飛んでいた。

(あいすまんさんがあそこまでやられるなんて・・・・・・・・・・・・・・・・)

確かに今回のユーク側の反撃は凄まじかった。
作戦に参加していたオメガ、レイピア、ヴァイパー、ヘイローの計48機の内、オメガ9、レイピア6・10 ヴァイパー6・9 ヘイロー11・12の計8機がやられていた。
オメガ9とレイピア6、ヴァイパーの2機とヘイロー11は辛うじてベイルアウトし味方に救助されたが、後の2機のベイルアウトは確認できなかったらしい。

もちろん、こうゆう犠牲は覚悟していた。だけどまさか副隊長がやられかけるとは露ほどにも考えていなかったのだ。
僕は内心で驚きを隠せないまま、呆然とハンガーに運び込まれる彼のF−14Aを見つめていた。


そうやって考え込んでいたので、僕は後ろから忍び寄る1機(1人)に最後まで気づかなかった。

「よっ、なんボーっとしてるんだよ。」
そして先制の目隠し奇襲攻撃、もちろん対応できるはずもない。

「あっ、止めろって!」
と慌てて僕はその手を振り払った。こんな所でいい年した青年2人がこんな事をしてれば、確実に変な人扱いだ。
そんな事を考えながら、僕は相手の方へ向き直った。

「へへっ、何シケた顔してるんだよ。」
と、そこには悪戯の実行者―――HIROKIはいつもの笑みを浮かべていた。
手には缶コーヒーが2本握られている。
その内の1本を「ほらよ。」とこっちに投げてきた。

「ほら、飲めよ。いつまでもそんな思いつめた顔すんなよ。」
そう言うと彼は自分のコーヒーの缶を開けて中身を一気に飲み干した。なにやら「くぅー」とかいう某有名ジュースのCMの台詞をそのまま言っている。
それはともかく、彼にそう言われて初めて自分の表情が気になった。そんなに酷い顔してるだろうか?

「僕、そんなに酷い顔してる?」

「ああ、まるで『目の前の状況が信じられない。』って顔してるぜ。」
HIROKIは肩を竦めて言った。確かにそんな顔してるかもしれないな・・・・・・・・・・・・・
・・・ちょっとまて、HIROKI、何故そこまで正確に当てられる?おまえはテレパシストか?

しばらく僕はそんなアホな想像を膨らませていたが、HIROKIが僕の方とは逆を向いているのに気がついた。
気になったので彼の視線を追ってみた。そして再びあの、光景が目に入った。

そう、見るも無残な副隊長の愛機、F−14Aトムキャットの哀れな姿。

「・・・・・・・・」

「・・・・・・・・」
しばしの沈黙、その静寂を先に破ったのは――――――


「・・・・・冗談だって、思いたいよな。まったく」
HIROKIだった。彼は重い口を動かしてポツリと漏らす。
それは冗談でも比喩でもなく、ただ心から出た感想そのものだった。

「ああ、そうだな。」
僕は短く同意する。確かに冗談や狂言ならどんなに救われたことだろうか。
しかしこれは現実だ、紛れもない現実なのだ。

「隊長が助けに入らなかったら、多分落とされてたらしい。」

HIROKIが肩を竦めて呟く。それを僕は聞きながら、あの時のことを思い出していた。
(あいすまんさんをやったのは多分、あの・・・・・・・)


「なぁ、heric、一つ聞いて良いか?」

「・・・・そんな真面目な顔して、一体なんだよ?」
僕は少し疲れたように応えた。いや、本当に疲れていたのかもしれない。


そう、精神的に。


そして、HIROKIは酷くゆっくりと口を開いた。

「副隊長をやった奴に・・・・・・心当たり、あるか?」
なんとなく僕には酷く不吉な問いに聞こえた。同時に酷く怨嗟に満ちているようにも聞こえた。
22 スナイパー 2005/09/18 Sun 20:54:48
同時刻 ユークトバニア シュバイツァー空軍基地 射撃訓練場


スナイパーSIDE


パンッ! パンッ! パンッ!

人気の無い射撃訓練場に銃声が木霊する。人の命を奪う乾いた音だ。
そして、それらの弾丸は寸分違わずターゲットの左胸、脇腹、頭部に命中した。
僕はそれを見届けるとゆっくりと手元の銃―――――ユーク正式採用銃であるSIG P228をゆっくりと降ろした。
ふぅー、と息を吐くと、もう一度的を見やる。
そこには先程と変わらない的の姿。既に30発近い弾が撃ちこまれている。さっき2回目のリロードをしたので恐らく今の3発含めて29発あたりだろう。
それにしても、30発近く撃ったのに、急所以外まともに当たった試しがない。

(・・・・・別に集中してる訳でもないのだけどな・・・・)
僕はもう一度溜息をつくと、手元のSIGを再びターゲットに向ける。
やっぱり気を紛らわす時はこうやって射撃とか読書するに限る。


何の気を紛らわすかって?・・・・・・・・そんなの考えたくも無い。


(仕方なかった・・・・・・・仕方なかったんだ。だって・・・・)
だって・・・これは戦争だから。
あいすまんさんに言ったことは本当だ。
僕にも仲間がいる。アッシュも白翼も部隊の他の人達も僕の大切な仲間だ。
絶対に死なせたくないし、それを「撃つ」のなら容赦はしない―――これは紛れも無い本音だ。

けど―――――――いや、考えるのはやめよう。

僕は頭を軽く振って、頭の中の葛藤を振り払った。
そしてしっかりと的を見据えると、SIGの引き金をゆっくりと引き―――――

「よっ!」
後ろから声をかけられ手元が狂い・・・・・・

パンッ!
そして乾いた発砲音が響く。
弾は狙っていた胸を大きく逸れ・・・・・・・両足の付け根、いわゆる《男の急所》という所に命中した。

「・・・・・・・で」
僕はやれやれと頭を掻くと声の主へと振り返る。

「何の用だよ?アッシュ。」

「いやいや、ちょっと隊長殿と話がしたいだけだよ。」
声の主―――アッシュはいつもの用に水素よりも軽そうな笑顔で言葉を返す。
そう、いつもと変わらない表情のはず。


けど


どことなく悲しそうに見えるのは僕の気のせいだろうか?


第3話 第5章へ続く
23 スナイパー 2005/12/23 Fri 22:20:04
エースコンバット・ザ・スカイウィングス第3話「交差する思いと砲火の中で」第5章


オーシア ソーディウス基地 食堂


みぃとろSIDE


午後6時、この時間になると食堂も夕食を取る輩で一杯になる。
と聞こえは良いが、要は野郎どもが群れをなして食券を買おうと争う戦場になると言うことだ。
幸い今日は間一髪、その戦乱に巻き込まれることなく食事を確保することができたようだが。

(確かこの前怪我人が出たらしいよなぁ・・・・・・)
そんなどうでも良いことを考えつつ、俺は夕食である月見うどんとあいつの夕食である醤油ラーメンを持つと、予めとっておいた席に足を向ける。
途中何人かの基地職員とすれ違い、最早激戦区となった食券販売機を眺めつつ、戦場とはかけ離れた場所に席を取ってつくづく正解だと思った。

(あの喧騒の近くじゃ、精神的に持たないな・・・・・・・)
俺も・・・・・・・あいつも。      ・・
今日は特に色々ありすぎてしまった。そう、色々と。
そうこうしている内に席に着いた。机の上で頭を抱えているあいすまんの前に、醤油ラーメンをおく。

「大丈夫か・・・・?」
ついでの一言に奴は少し顔を上げると、げっそりした顔で。

「・・・・・・ああ、大丈夫だ。」
と一言。
しかし、言葉とは裏腹にあいすまんの顔は相当やつれている上、声もあまり元気がない。
基地に帰還してからずっとこの調子なのだ。

「食欲ないなら、無理しない方が良いぞ。」
と、半ば機械的にラーメンを啜っているあいすまんに声をかけておく。先程から彼の食べるペースは普段の3分の1程の速さだ。

(まぁ、仕方ないか・・・・・・・)
こいつがこまで落ち込むなんて、ここ数年では片手で数えられるほどしかない。
しかし、考えてみればその片手で数えられる幾つかの出来事も、彼を落ち込ませるには充分だった。

航空ショーでの事故、僚友たちの突然の病死、そして老朽化したトムキャットの退役決定。

どれもこれも、彼にとってはかなりのショックだった筈だ・・・・・・・
けれど、今回ばかりはあんまりじゃないかとつくづく感じられてしまう。


       ・・・・
よりによって、昔の友人に殺されそうになるなんて。


―――時間は何時間か遡る―――――――


それに気づいた時には、もう手は動いていた。


そのまま機体は反転急降下、高度計が狂ったように回転する。

「スナイパー!!」
そんな風さえ、感じられそうな状況の中、俺は叫びながらに引き金を引いた。
僚友を助けるため、かつての僚友の名を叫びながら。
間違っていると判っていて、その引き金を・・・・引いた。

「っ!!」
彼――スナイパーの舌打ちが無線機ごしに伝わった気がした。
今、まさにあいすまんに襲いかかろうとしいた彼の機体は鋭い動きで俺のイーグルの攻撃を避ける。
その一瞬の間があいすまんの命を救った。

「すまん・・・・・助かった。」
彼が心底申し訳なさそうに呟く。
その声は・・・・・・・聞くのが嫌になるくらい痛々しかった。

「気にするな、あいつ相手じゃ仕方ないだろ。」
相手を牽制しつつ、彼にそう一応の慰めの言葉を掛けるが・・・・・・返事は返ってこない。

手負いである彼の機体はそのまま帰還するルートを取ると、まるで現実から逃げるように加速していった。

「レイピア1より、レイピア2、3 オメガ1を援護しつつ帰還しろ。」

「レイピア2、コピー。」

「レイピア3、ウィルコ。」
そう周波数を切り替えた無線から声が流れる。
これで取りあえずは安心だろう。心中で一人、溜息をつく。

(あいすまんは大丈夫だな・・・・・後は・・・こいつか・・・)
恐らく、こちらの方が数倍厄介だろう。
俺は意を決すると無線の周波数を合わせた。


「久しぶりだな、スナイパー。」

「ええ、御久しぶりです、みぃとろ隊長。」

久しぶりの僚友の声は暖かくて、冷たかった。
24 スナイパー 2005/12/23 Fri 22:20:10
時間は戻り、アッシュSIDEへ・・・・・


既に外は漆黒の闇。それはここ、射撃訓練場も例外ではない。
辺りは薄暗く、申し訳程度に取りつけられた電球だけが辛うじて明かりを保っている。
こんな時間にここに来るの奴は余程の物好きだろう。

(で、その物好きは案の定ここに居やがったな・・・・・)
俺――アッシュはそんな事をその物好き――スナイパーを方を見ながら考えていた。

「よっ、こんな時間に訓練か?」
俺はできるだけ・・・できるだけ軽い口調で話し掛ける。

「・・・・・」

「おまえも相当、物好きだな。」

「・・・・・」
しかし、先程の軽口以降、返答は返ってこない。
集中していた所を邪魔されたからか、それとも俺の言葉が気に入らなかったのか、恐らくそのどちらでもないだろう。
かといって、心当たりがない訳ではないのだが。
取り合えず、そこに触れないように話そうと思ったのだが・・・・・・

「まぁ、元々お前は結構なフラン―――――――」

「いい加減、もう少し話をそらすのを少しうまくしろよ。」

どうやら

「まぁ、お前のそれも元々だけどな。」

俺らの隊長は

「その調子だと、まさか僕が本気だとは思ってなかっただろ?」

俺よりずっと利口で賢いらしい

「隊長だからね。仲間を守るためならなんだってするさ。」

そうやってあいつ――――スナイパーは笑った。


悲しく笑った。


とても痛々しかった。
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