ACオリジナルストーリー投稿スレッド
No.67
- 1 スナイパー 2005/03/07 Mon 21:40:09
- ええと、前に僕が立てた「ACオリジナル〜〜」のスレッドが議論スレッドになってしまったので、新スレを立てます。
具体的な内容は前と変わりませんが、このサイトの住人さん達の名前を使いたい場合は必ず、「ACオリジナル〜〜」のスレッドを確認して許可を出している人のみの名前を使用してください。
また、「自分の名前を使っても良いよ。」と言う人は「ACオリジナル〜〜」スレッドに「名前を使用する事を許可する。」ような文面を書いてください。詳しく搭乗機体などを制限したい場合はその旨もしっかり書いてください。
では、皆さんの熱い作品を待ってます!!
- 2 スナイパー 2005/03/11 Fri 20:26:06
- それが15年前の戦争−
そして、この戦争で英雄と称えられた部隊があった オーシア ユークトバニア両国から集められたエースパイロットのみの中隊
その力は歴戦のベルカのベテランパイロット達を次々と恐怖のどん底へと陥れた。
その中隊の名は「みぃとろ中隊」
彼らを含む連合軍を相手にベルカは猛々しく戦った そして惨敗した
自国の中で核兵器を使う愚さえ犯したベルカ人 その無惨さは過去に例を見ないほどだった
そして世界に平和が訪れた
彼らのおかげで 彼らは英雄になった そして彼らは再会を誓い合い それぞれの故郷へと帰った
しかし 運命の神は祝福ばかりを与えてはくれなかった
かつての英雄に憧れて空を飛ぶことを夢見た若者達が かつての英雄がいるオーシアとユークトバニアのそれぞれの基地の門を叩く
その時 新たなる物語の幕が上がる・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――――ACECOMBAT THE SKY WINGS エースコンバット ザ・スカイウィングス ―――――――
今、天かける騎士達が空を舞う・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
後書きのようなもの
さてさて、始まりました。
みぃとろさんの許可を頂き
満を持して、作品を投稿できます。(ぁ
更新は不定期になりますが、頑張りますので皆さんよろしくお願いします。
次回予告
平穏が訪れた筈の世界。
だが、訓練中に鳴り響く警報は一体、何を意味するのか?
次回、第一話「平穏の終りに漂う戦いの予感」
- 3 スナイパー 2005/03/14 Mon 21:42:38
- 平和の終りに戦争が始まる
戦争の終りに平和が始まる
何時の時代もそれは変わらない。
エースコンバット ザ・スカイウィングス第1話「平穏の終りに戦いの予感 前編」
2010年 9月25日 10時20分 ランダース岬付近
レッドアラート!!
その時、私は空中にいた。演習の仮想敵部隊の隊長役として、部下に指示を出していたところだった。
間髪おかずに管制塔からの指示が入る。
「通信司令室より、レイピア、オメガ両隊へ、不明機のコース、ランダース岬を基点に方位265から287、みぃとろ少佐!!貴方の隊しか間に合わない。」
それを聞いた隊長――オーシア第157飛行中隊の隊長みぃとろ少佐がすぐに部下に指示を飛ばす。
「こちらレイピア1了解、あいすまん、HIROKI、後ろにつけ、hericは残りの機体を連れて基地に戻れ。」
「こちらオメガ1、あいすまん、了解!!」
そう言って私はみぃとろ隊長の駆るF−15Cイーグルの右後ろに愛機であるF−14Aトムキャットをつける。
「こちらレイピア2 HIROKI、りょ、了解!!」
HIROKIは最近、部隊に入ったばかりの新米パイロットだ、だが腕は良くメキメキと現在頭角を表し始めている。
そんな彼の乗るF−20Aタイガーシャークがみぃとろ隊長の左後ろにつける。
「こちらオメガ2、heric了解!!・・・・皆、気をつけてくださいね。」
hericも若いパイロットだが操縦センスと度胸は部隊でも1,2を争う、優秀なパイロットだ。
彼は愛機―――F−16Cを反転させ、基地への進路を取る、それに残りのF−15CやF−16Cがついていく。
「では我々は不明機に接触するぞ、何があるか判らん、全機気を引き締めて行け。」
「「了解!!」」
そう応答すると私はアフターバーナーを作動させ、加速する隊長機の後を追った。
同時刻 ユークトバニア シュバイツァー航空基地 搭乗員宿舎
殆どの基地隊員が雑談や、少し早い昼食をとる様子を見ながら、僕――ユーク第328飛行中隊隊長スナイパー大尉は手元のトランプに目を戻した。
「どうだ、7と2のフルハウスだ!!」
と、僕の斜め前に居る奴が誇らしげにカードを見せる。だが、それを見た僕の右隣に座っている男がニヤリと笑った。どうやら自分の方が役が良いらしい。
「甘いですよ。アッシュさん、俺はハートで3から7のストレートフラッシュです。」
それを見た斜め前の男――アッシュは「なにぃ!!」と声を荒げた。
「あぁっ!お前ズルしただろ!」
「してませんよ。アッシュさんが弱いんですよ。」
と、(僕にしては)くだらない会話(一方的な抗議にも聞こえるが)を聞きながら僕は手元のカードをテーブルに並べ始めながら、2人に呼びかける。」
「2人とも、良いじゃないか、どうせ僕の勝ちなんだし。」
今まで抗議をしていたアッシュとそれを聞き流していた男――白翼が揃って「えっ?」と聞き返した。
「スペードの10、J,Q,K,Aでロイヤルストレートフラッシュね。どう文句ある?」
白翼は呆けたように口をあんぐり開け、アッシュはまるで刑事のようにトランプをチェックしている。
そんな2人を見ながら僕は腰を上げながら、我ながら見事な営業スマイルで言った。
「じゃあ、御2人さん、昼飯代はよろしくね♪あ〜隊長思いの部下がいるのはとても良い事だねぇ♪」
そう言って、僕は食堂に向かって歩き出した。
ちなみにその2,3秒後アッシュの「スナイパー!!」と言う声と白翼の「隊長!!」と言う声が見事にハモって聞こえた。
もちろん、聞こえなかったことにした。
- 4 スナイパー 2005/03/16 Wed 20:57:28
- エースコンバット ザ・スカイウィングス第1話「平穏の終りに戦いの予感 中編」
再びランダース岬付近
先程の味方機の印である青ではなく敵機を表す白いの点がレーダーに幾つか現れた。すぐさま、隊長が無線を繋ぐ。
「国籍不明機に注ぐ、貴機は明らかな領土侵犯を犯している、繰り返す・・・・・!?」
その警告が繰り返される事はなかった。なぜなら規則的なアラート音がコクピット内に響いたからだ。それの意味をする所はつまり・・・考えるより早く、私は機体を右に旋回させる。視界の端でみぃとろ隊長とHIROKIが左に避けるのが目に映った。
続いて断続的に聞こえるアラート音、間違いなくミサイル接近の警告音だ。
(頼むから当たるなよ・・・・・・)
必死の願いが通じたのかミサイルは誰にも当たらず、自機の横を通過していく。その事に安堵していると、みぃとろ隊長から通信が入った。
「レイピア1より全機、交戦を許可する。全機叩き落せ!!」
「みぃとろ少佐、それは命令違反だ!」
「馬鹿!大事な部下を見殺しにはできないんだ!」
通信司令室と隊長のやり取りを聞きながら私は敵機へと向かう。この状況で従うのはどちらの命令か?と考えるのは偶問だ。
敵の数を数えてみると、MIR−2000が4機と増援らしきMIG−21BUSが6機の計10機のようだ。
私はまだフィッシュベットの編隊が解けていないのを確認するとそちらに機首を向けた。
「オメガ1、交戦!!」
「レイピア2、交戦!!」
HIROKIもやる気のようだ。私達の交戦報告を聞いた隊長は満足そうに指示を飛ばす。
「良し、オメガ1は前のミグを、私とレイピア2で残りをやるぞ!2人とも死ぬなよ。」
と、隊長のF−15CとHIROKIのF−20Aが反転して、先程我々にミサイルを撃ったミラージュの編隊に向かう。
私はそれを横目で見つつ、腹に抱いた6発のミサイル、AIM−54フェニックスの安全装置を解除する。
今回予定されていた演習には実弾演習も含まれていたので、隊長のイーグルにはAIM−7スパローとAIM−9サイドワインダーが各4発づづ、HIROKIのタイガーシャークにはサイドワインダーのみが4発積まれてる。
もちろん、機銃弾も満載だ。
(久しぶりだな、15年前以来か・・・)
私は何時の間にか沸き起こっていた密かな興奮を、押さえきれずにいた。
同時刻 ユークトバニア シュバイツァー航空基地 機体格納庫
食事を終えた僕は真っ直ぐにハンガーにやってきた。
実は最近、僕の愛機であるSu−27フランカーのレーダーが故障してしまい、今日行なわれていた補修作業がつい先程終了したと同じ食堂にいた整備員から聞き出したからだ。
駆け足でハンガーまで来ると自分の愛機の近くに駆け寄った。
僕専用のパーソナルカラーである赤系統の迷彩が施された機体――Su−27フランカーは格納庫の入口から入った日の光を浴びていつも通りに綺麗に輝いていた。
「やっぱりそこにいたのか。」
後ろから声をかけられて振りかえってみると、そこにはアッシュが缶コーヒーを2本持って立っていた。
彼は僕の方に歩み寄ると、手に持っていた缶コーヒーの一つと「ほらよ。」と言って手渡した。
「どうしたんだ?」
と、僕は缶コーヒーを受け取りながら答える。
「おまえがここに居ると聞いてね。少し昔話がしたくなったからさ。」
僕は持っていた缶コーヒーを開けると、一気に飲み干した。そして近くにあるゴミ箱に投げ捨てる。
「確かに、あの戦争から15年か・・・・・月日が経つのは早いもんだな。」
「ああ、あの頃が懐かしくなる時がたまにある。」
それを聞いた僕は苦笑した。アッシュの目が訝しげに細められる。
「どうした?何が可笑しい?」
「いや、おまえにも感傷に浸る時も有るんだな、と思ってさ。」
「俺が感傷に浸っちゃダメなのか?」
「そんなことは言ってないさ・・・・・ただ・・」
そこで僕は言葉を切った、一瞬あの頃の記憶が蘇ったからだ。
まだ幼かった自分、いつもみぃとろ隊長の後を追いかけていた自分、そしてSu−37で空を駆けていた自分。全てが懐かしく感じる。
もうあれから15年たったのだと、今の境遇が改めて実感させてくれる。
「まぁ、どちらにせよ、あんな戦争は二度と起こって欲しくないな。」
アッシュの言葉に僕は再び現実に引き戻された。そして見上げたアッシュの顔はどこか遠くを見ているようだった。
そしてその声はやっとのことで搾り出したような言葉に聞こえた。
「ああ、そうだな・・・・・」
僕はそう相槌をうった。もう二度とあんな戦争は起きて欲しくなかった。あんな・・・・・愚かな戦争は、二度と。
戦争はもう実際に目の前で起こる物ではなく、単なる歴史の1ページにして欲しかった。
けれど、運命の神様達はどこまでも、僕達が嫌いみたいだったんだ。
- 5 スナイパー 2005/03/18 Fri 22:34:49
- エースコンバット ザ・スカイウィングス第1話「平穏の終りに戦いの予感 後編」
敵機とHIROKIが高速ですれ違った。
それを見たHIROKIがインメルマンターンでうまく敵機の後ろに回りこむ、敵機も必死で逃げようとするが幾分距離が短すぎた。
「レイピア2、フォックス2!!」
勢い良く、彼のタイガーシャークから2発のサイドワインダーが放たれた。
一発目が敵機の尾部で近接信管を作動させ、ミラージュのエンジンに致命的なダメージを負わせる。
動きが鈍ったそこに容赦無く二発目が命中し、敵機はその搭乗員諸共空に散った。
「レイピア2より、レイピア1! 1機撃墜!!やりました隊長!!」
無線からHIROKIの興奮した声が聞こえてくる。無理もない、彼にとっては初めての撃墜だ。
自分もそんな頃があったな、そう考えて思わず苦笑する。
一方の隊長は切れ味鋭いスプリットSで同じように敵機の背後を取ると、そこに機銃の一連射を浴びせ掛ける。
敵機はエンジンを撃ち貫かれ、爆発音と共に四散する。
それを見届けつつ、隊長は2機残っている敵機の1機に食らいつくと同じように機銃の一連射を浴びせる。たちまち敵機は先程の敵と同じ運命を辿った。
最後の1機も易々と後ろを取られてしまう。だが、敵も必死で振り切ろうとする。
だが、隊長は楽々と追従し敵機に機銃を浴びせ掛ける。
敵機はなんとかそれを回避するが、勝てないと判断したのだろう。尻尾を巻いて逃げようとする。
しかし、隊長は逃がさない。
「レイピア1、フォックス1!!」
隊長のイーグルから2発のスパローがそれぞれ間を置いて発射される。敵機はそれを必死で回避しようとするが、スパローはセミ・アクティブ式の誘導ミサイルだ。母機が敵機を捕らえつづける限りスパローは敵に向かって牙を剥く。
それでも、敵は必死の回避で一発を避ける。隊長の放ったセミ・アクティブのミサイルを避けるとはかなり運の良い奴だ。恐らく今日のあの敵機の運勢は大吉だろう。
しかし、その運も1度だけだった。もう一発のスパローが敵機のエンジンに突き刺さり、その使命に忠実に敵機を木端微塵に吹き飛ばした。
「こちらレイピア1よりレイピア2、良くやった。だが、私は3機落としたぞ。」
こちらは隊長、流石に報告も冷静だ。3機をあっという間に撃墜したのも凄いが、それで喜ばないのも凄い。恐らく彼にとっては「たかが3機」なのだろう。
そんな事を考えている内に増援の敵機が近づいて来た。私は気を引き締めると、アフターバーナーを作動させる。
いくらフェニックスが長距離ミサイルでも、遠くからでは回避させる可能性がある出来るだけ接近して撃ちたい。
あっという間に敵機が射程内に入る。距離2500マイル、しかし私はトリガーを引かない。
一瞬のチャンスを逃さないように、全神経をトリガーに集中させる。
どんどん敵機との距離が縮まる。、2300・・2000・・・1800・・・1600・・1400・・・今だ!!
「オメガ1、フォックス3!!」
一気に6匹の「不死鳥」が敵機に襲いかかる。
こんな近距離でミサイル、それも長距離射程のミサイルを撃たれるとは思っていなかったらしいミグは必死で回避しようとするが時既に遅し、6発のフェニックス全てが命中し、敵機を鉄の棺桶に変える。
「こちら、オメガ1!新記録だ、6機撃墜!!」
火達磨になった敵機とすれ違いながら、そう報告する。これで敵機は全滅だ。
「レイピア1より各機へ、全ての国籍不明機の撃墜を確認。これより帰還する。」
「・・・・・こちら通信司令室、了解。」
私は再び、みぃとろ隊長の右斜め後ろに機体を並べ、基地への帰還ルートを取った。
それからは基地に帰るまで誰も、一言も喋らなかった。本来ならHIROKIの初戦果を誉めたり、自身の6機同時撃墜を自慢したりするのだろうが、とてもそんな事は言ってられなかった。
私は・・・いや私達は薄々感じ始めてしまったから。
この平和がもうすぐ崩れ去るだろう、と。
GO TO THE NEXT SKY
後書き
どうも、スナイパーです。
やっと出来ました。第一話です。
今回のストーリーはエースコンバット5のストーリーに沿って、オーシアとユークのそれぞれの主人公の視点から戦争を追って行きます。
大体のストーリーは頭の中に出来ているので頑張って、完結させたいと思います。
では、次回予告
必死の願いも空しく、両国は戦乱の道を歩み始める。
あの蒼い空は、僕達の再会の場所となった。
敵同士としての、再会の場所となった。
次回、エースコンバット・ザ・スカイウィングス 第2話「再会の空」
- 6 スナイパー 2005/03/21 Mon 19:54:01
- 平和な空ほど脆く儚いものはないと僕は知った
もっとも――――
知った時にはもう手遅れだったけれど
エースコンバット ザ・スカイウィングス 第2話「再会の空 第1章」
9月27日 12時45分 オーシア ソーディウス航空基地 ブリーフィングルーム
「開戦!?冗談でしょう!?」
hericが信じられない、といった様子で言った。無理も無い、彼はあの時残りの部隊を引き連れて基地に帰還していたのだから。
そんな彼に対する隊長の答えは実にシンプルだった。
「残念だが本当だ、本日12時丁度にユークトバニア連邦共和国は我々オーシア連邦に宣戦布告した。」
実はと言うと、私も冗談であって欲しいと思っていた。先日にあんな事があっても、きっと何かの間違いで会って欲しいと半分本気で考えていた。
しかし、物事とは常に悪い方向に転がるように出来ているみたいで、先程緊急召集を掛けられ現在に至ると言うわけだ。
「けど・・・・・戦争なんて、そんな!!」
だが、隊長は首を振った。その隊長に更に反論しようとするhericを遮ったのは意外にもHIROKIだった。
「もういいだろ?愚痴っても仕方ない。僕達は僕達の出来ることを精一杯しよう。」
「HIROKIの言うとおリだ、今は出来ることをやるしかない。隊長、我々の任務は?」
私はHIROKIに同意すると隊長に向き直った。
「ああ、これを見てくれ」
そう言って隊長は地図を取り出すとオーシアの東に位置する港を指差した。
「先程開戦と同時にここ――セント・ヒューレット軍港が奇襲を受けた。幸い停泊中の第3艦隊は無事に出港したが、港付近の施設が少なからず損害を被った。」
そこで隊長は言葉を切り、一息つくと、また状況を説明し始めた。
「我々の任務はセント・ヒューレット軍港から撤退してくる敵部隊を待ち伏せし可能な限りの損害を与える事と、余力があれば彼等の行動を支援しているであろう。敵電子戦機と空中給油機を撃墜する事だ。」
「この基地からだと、ランダース岬沖あたりで迎撃することになりそうですね。」
「そうだ、だが敵も待ち伏せられる事を警戒してユーク本土から援軍の護衛機が来る可能性がある。各員作戦中は全員厳重に警戒するように。以上だ。」
「「「了解!!」」」
そう言って隊員たちは次々とハンガーに向かって駆け出して行く。
HIROKIもその中に混じって愛機であるF−20Aのところへ行った様だ。
私もハンガーに向かおうとしたが、視界の隅に俯いたままのhericを見つけたので駆け寄って声を掛けてみた。
「辛いだろうが、今は戦争で私達は軍人だ。わかるな?」
その言葉を聞いたhericは僅かに顔を上げた。先程とは違いその眼には決意の色をしていた。
「大丈夫です。行けます。」
「よし、行くぞ!!」
今度こそ私は我が愛機が待つハンガーに向かって駆け出した。
- 7 スナイパー 2005/03/24 Thu 22:35:20
- エースコンバット ザ・スカイウィングス 第2話「再会の空 第2章」
9月27日 13時05分 セレス海上空
「ガンナー1よりガンナー、グレイフィールド、ソード各隊に継ぐ、今回の僕達の任務はセント・ヒューレット軍港空襲に参加した部隊を可能な限り帰還させることだ。オーシア側からの激しい攻撃が予想される。」
そこで僕は一端言葉を切った。しかしすぐに続く言葉を吐き出す。
「もうすぐ味方部隊が見える筈だ。各員警戒を厳にせよ。以上。」
そこまで言い切ると僕は大きく溜息をついた。まだ作戦前なのにかなり疲労困憊している。
それもその筈、今日もいつもと変わらぬ日か来ると思っていたのに、朝起きていきなり緊急召集をかけられ、「開戦した。」と言われその後、任務がどうこう装備兵装がどうこうと忙しく動き回れば誰だって僕のようになるだろう。
ましてや、僕は隊長なので(今日程、隊長である事を後悔した日はない。)他の隊員より10倍ぐらい疲労がたまっているのだ。(上の事+混乱している部下を落ちつかせる+基地司令に判断を仰ぐ+まだ寝ている隊員をたたき起こして事情を判りやすく説明するETC・・・・・・)
しかし、この疲労感の原因はもっと別の所にあった。
「こちらグレイフィールド1、了解・・・・・・スナイパー、大丈夫か?」
そんな僕の苦労を知ってか知らずかアッシュが声を掛けてきた。彼は愛機であるMIG−29S――ファルクラムCは僕の右後方につけている。
「ソード1、了解。隊長、どうかしたんですか?」
白翼も自分の機体、濃い青1色に染まったSu−27フランカーを僕の機体の左後方に並べる。
「ああ、大丈夫だよ。少し考え事をしていただけだ。」
僕は適当な言葉で返した。しかし、白翼はともかくアッシュとは長い付き合いだ、それでは騙しとおせなかった。
「オーシア軍にいるあいすまんさん達の事か?」
アッシュにいきなり核心を突かれてしまい、黙り込んでしまう。
そう、今回の戦争の相手はオーシア連邦、つまりあいすまんさんやみぃとろさん、Cielさんを敵に回すと言う事だ。
「容赦なく撃てる、と言えば嘘になるけど、それでも・・・・・・それでも自分なりに覚悟は固めたつもりだった。」
しかし、いざ作戦開始前になると何処と無く現実味を帯びていなかった元の仲間と戦うという事がいきなり現実味を増して現れたからだ。
僕は本当に撃てるのか?撃つべきなのか?撃たなければならないのか?
葛藤、疑問、疑惑、そんな思いが頭の中で渦を巻いていたのだ。
そんな思いを言葉にして吐き出す。
「でも、いざ本番って時に限って、引き金を引けるかどうか不安になるんだ。」
だが、アッシュは冷静に残酷とも思える言葉を投げかけてきた。
「割り切れよ。昔の友人でも、今は敵なんだ。守りたいもの、人達がいるなら・・・・戦え。」
その言葉は他の人には残酷に聞こえたかもしれない。
だが、その言葉は僕も迷っていた背中を確かに押してくれたと思う。
さらには白翼までが僕の背中をもう人押ししてくれた。
「隊長の事情って、僕にはよくわからないですけど・・・・・今は例えどんな相手だろうと、戦うべき、いえ戦わなくちゃならないんだと思います。」
その言葉はいつものようなやや控えめな、けれどもはっきりとした声だった。
そう、今は戦争で彼らは敵。だから戦う。そう割り切る事が正しいとは到底、思えない。
しかし、今はこれしか方法がない。だから・・・・・・だから僕は・・・・僕は!!
「・・・・・アッシュ、白翼、ありがとう。」
「吹っ切れたみたいだな・・・・・・頼りにしてるぜ、隊長さんよ。」
ファルクラムのコクピットの中でアッシュが拳を上げているのを僕は確かにみた。
そして、その表情は恐らく心底安堵したような表情だったのだろう。
しかし、そんな和やかなムードも一瞬で終わりを告げた。
「ん・・・・っ!!ソード1よりガンナー1へ、隊長!!味方部隊より救難要請!!予想以上に敵の攻撃が激しいようです。」
白翼のその一言で一気に部隊に緊張が走る。その中を僕は指示を飛ばした。
「ガンナー1より各機へ、出力最大でいく!!僕に続け!!」
「グレイフィールド1、了解!!」
「ソード1、了解!!」
そして僕は助けるべき仲間がいる戦場へと全速力で愛機を駆る。
その先にはかつての旧友が本当に待っていた。
もちろん、この時の僕が知るはずも無いけど。
- 8 スナイパー 2005/04/02 Sat 15:36:27
- エースコンバット ザ・スカイウィングス 第2話「再会の空 第3章」
また1機のA−6イントルーダーが機銃の一連射を浴びて炎に包まれた。
私はコクピットからそれを一瞥するとすぐに機体を翻して新たな敵を探す。もうこれで4機も落としたことになる。
ふと、隣を見ると仲間が次々と敵機を血祭りに上げていた。報告も絶えることなく入ってくる。
「こちらオメガ7、1機撃墜!!」
「こちらヴァイパー3、また1機撃墜!!」
「レイピア5より隊長へ、やりました、敵機撃墜!!」
やはり準備万端で弾数にも余裕があるオーシア軍に対して作戦後で機体の消耗が激しいユーク軍が明らかに劣勢なのが見て取れる。
更に不意まで突かれているので、ユーク側は指揮系統も混乱を起こしているようだ。作戦は既に成功と言っても良かった。
しかし、まだ大成功とは言えない、何故なら敵空中管制機、給油機が発見できないのだ。
レーダーは混戦で役に立たないので目視に頼るしかないのだが、今だに発見できない。
(一体管制機と給油機はどこにいるんだ。)
そうこうして探しているいる内にレーダーの端に新たな反応が現れた。数――およそ15機程
私は素早く通信回線で近くの味方に呼びかける。
「オメガ1より各機へ、敵の新手だ。足の長いミサイルを持っている機体は先行して叩け!!」
「こちらヘイロー12、了解。先行して叩きます。」
「ヴァイパ―6よりオメガ1へ、了解です。副隊長殿。」
そう言い残し、ヴァイパ−6のF−16Cとヘイロー12のF−20Aがアフターバーナーを全開にして先行すると同時にレーダーの新手を表す点がパッと散開する。
言い忘れたが、今回の作戦では我がオーシア第157飛行中隊はオメガ、レイピア、ヴァイパー、ヘイローの4部隊に分かれておリ、それぞれの隊長を私、みぃとろ隊長、heric、HIROKIが務めている。
使用している機体も、レイピアがF−15C、ヴァイパーがF−16C、ヘイローがF−20A、そして我がオメガ隊がF−14Aとそれぞれの隊長機の機種で統一されている。
私は先行する2機とそれに続く僚機を見ながら、再び管制機・給油機を探すために再び機体をロールさせた。
同じように管制機を探しているみぃとろ隊長に通信を入れる。
「オメガ1よりレイピア1、みぃとろ隊長、そっちはどうだい?」
「こちらレイピア1、駄目だ、見つからない。」
みぃとろ隊長からの返信を聞きながらも私はひたすら目標を見つけるべく機体を駆る。
コクピットから辺りを見まわしつつ、私はもう1度隊長に無線を入れる。
「こっちもだ。仕方ない、もう少し辺りを・・・・・・・」
その先の言葉を言いきる事は出来なかった。なぜなら先行した2機からまるで悲鳴のような報告が入ってきたからだ。
「こちらヴァイパー6!!くそぉ!食らった!脱出します!!」
「こちらヘイロー12!敵機が後ろに…誰か、う、うわぁー!!!」
同時に通信がプッツリと途切れる。その時点で私や隊長は初めて自分の失策に気がついた。
恐らくこの時、私達は管制機・給油機を見つける事で頭が一杯だったのだろう。完全に敵の増援を舐め切っていた。
良く考えれば、空対空ミサイルを満載していて、援護に来る筈だから中々腕の立つ敵がいるであろうと言う事は判ったはずなのだ。
充分に警戒し、万全の態勢で望むべきだったのだ。
私は内心で軽く舌打ちして機体を反転させる。隊長もそれに習って機体を戦闘空域へと向ける。
(くそっ、皆、無事でいろよ。)
心の内で仲間の無事を祈りながら、私はアフターバーナーを全開にする。と同時に強烈なGが私の身体を強引にシートに押しつけた。同時に身体が悲鳴を上げる。
私はそれを堪えて、味方を助けるべく機体を駆る。
しかし、それを嘲笑うかのように次々と犠牲が増えて行く。
「こちらレイピア10!!駄目です。脱出します!!」
「こちらヘイロー1、隊長急いでください!もう5機もやられました!!」
無線に混じってHIROKIの叫び声も聞き取れた。私は愛機に鞭打って、必死に味方部隊へと向かう。
しかし、次に飛びこんできたhericが驚愕の真実を伝えてくる。
「くそっ、この赤いフランカー、かなり強い!!ヴァイパー5!オメガ2!そっちに行くな!!奴の思うつぼだぞ!!」
その瞬間、時が止まった様な気がしたのは、気のせいではあるまい。私は一瞬hericの言葉の意味が判らなかった。
赤いフランカーのエース、思いつく者は1人しかいない。15年前、共に肩を並べて戦った戦友しか。
(まさか、あいつが敵に?そんな馬鹿な・・・・・)
私は疑念を抱きつつも、今はそれどころではないと自分に言い聞かせる。
それから約2分後、なんとか戦場に辿りついた私を待っていたのは、やはり旧知の友だった。
しかしそれは感動的な再会とはとても言えなかった。
- 9 スナイパー 2005/04/09 Sat 21:17:13
- エースコンバット ザ・スカイウィングス 第2話「再会の空 第4章」
「ガンナー1より全機へ、まもなく目標に接近する。ガンナー、グレイフィールドの2隊が先行する。タナトスは給油機、ソードは管制機の援護にあたれ。」
「グレイフィールド1、了解。」
「ソード1、了解。スナイパー隊長、アッシュ副隊長、お気をつけて。」
そう言い残すと白翼率いるソード隊とタナトス隊が反転急上昇していく。僕はそれを確認すると今回の兵装をチェックする。
僕率いるガンナー隊のSu−27に装備できるAAMは12発、その割り振りは赤外線誘導のR−73アーチャーが8発、アクティブレーダー誘導方式のR−27AEアラモEが4発とやや接近戦重視の兵装になっている。
オール ウェポンズ フリー クリア トゥー エンゲージ エンゲージ
「ガンナー1より全機、全兵装使用自由。交戦を許可する。全機無駄死だけはするんじゃないぞ。ガンナー1交戦!!」
僕はそう隊員達を激励すると、先行してくるF−20AとF−16C、そしてその奥にいるF−15C2機をロックオンする。
所々で交戦報告が入る中、僕は敵機をロックすると発射ボタンを押した。
「ガンナー1、フォックス3!!」
4発のR−27AEが勢い良く飛び出した。正面の敵との距離が詰まって行く。アクティブシーカー覚醒。前方の2機がミサイルの接近に気づくが、遅すぎた。
2発のアラモは近接信管が作動させ、敵機は発生した爆風と破片をもろに食らい、どちらも空の塵と消えた。幸いどちらの機のパイロットも咄嗟にベイルアウトしたようで運があればまた飛べるだろう。
一方後方の2機は流石に冷静でチャフをばら撒きつつそれぞれ左右に急旋回してR−27AEの直撃を回避した。
しかしその時には既に、僕はアフターバーナー全開で1機のイーグルの背後に肉薄していた。
「もらった!!」
同時に機首から30ミリ砲弾が吐き出される。それはイーグルに赤い花を幾つか咲かせると、たちまち燃えあがり敵機を血祭りにあげる。
僕はそれを確認しつつ、もう1機のイーグルを狙おうと右旋回で追いかけようとしたが、唐突にそのイーグルがレーダーから消える。
理由は簡単。何時の間にか僕の斜め右上空にいたアッシュがR−73アーチャーを御見舞いしたからだ。
御見舞いを受けた気の毒なイーグルはミサイルの直撃を受けて木端微塵に砕け散った。
「こちらグレイフィールド1、悪いな横取りして、俺はこれで2機だぜ。」
「こちらガンナー1よりグレイフィールド1、別に構わん。僕はもう3機落としたからな。」
僕がそう返すと無線越しにアッシュが舌打ちするのが聞こえてきた。僕は思わず笑いそうになったが、すぐに気を引き締める。レーダーがこちらに向かってくる敵機を捕らえたからだ。
「御喋りはそのくらいにしよう。新手だ。」
「ああ、俺の方に1機、お前の方にも1機・・・・・・・・来るぞ!!」
それと同時に僕とアッシュは散開してそれぞれの敵を迎え撃つ。
敵との距離がどんどん詰まってくる・・・・・・とロックオンアラート、そしてそれはすぐに空気を切り裂くような断続的な音になる。
恐らくこの距離ならAIM−120だろう。僕はそう判断すると、チャフをばら撒きつつ降下しながら機体を右に捻る。
案の定、僕を狙ったミサイルはチャフに突っ込んでそのまま爆散した。
それを確認しつつ機体をミサイルを放った張本人に向ける。機体全体を濃いブルーとやや薄めのブルーであしらった機体、一見するとF−2Aのようだが主翼が微妙に違う。F−16Cファルコンだ。
(エースカラーって所かな・・・・・・・・じゃあ・・)
それを確認しつつ僕はF−16Cの背後につける。高速ですれ違った上にこちらは降下で機速を稼いだ状態だ。敵も旋回で振り切ろうとするが、遅い。
「これが避けられるかな!?ガンナー1、フォックス2!!」
紅いフランカーから2発のR−73アーチャーが飛び出した。
それは白い筋を引きながらF−16Cに向かって迫る。この距離なら逃げられない筈。
だが、F−16Cは意外な行動を取った、突然アフターバーナーを全開にして急降下したのだ。無論それをアーチャーは追尾する。
(血迷ったのか?・・・・・いや、違う!!)
F−16Cはある程度機速を稼いだところで、今度はいきなり急上昇に転じた、2発のアーチャーの内の1つはその急激な機動にに耐えられず爆発した。
(だが、もう1発残って・・・・・・しまった!!)
僕は内心舌を打つ、F−16Cの前方には赤々と燃える太陽がある。F−16Cはこれを狙っていたのだ。
そのF−16Cは急旋回。しかしアーチャーはF−16Cよりも強い熱源、太陽を目指して天に昇って行った。
(このF−16C・・・・・中々やるな、久しぶりに苦戦しそうだ。)
僕は内心、強敵と戦えることへの喜びと高揚を押さえきれず、ついクスリと笑みをもらした。
続きスレッド