ACE COMBAT オリジナルSS投稿スレッド(4)
No.84
- 1 VIPERZERO 2005/08/17 Wed 22:20:10
- 時は大陸戦争が終結した数ヶ月後、ベルカ事変の数年前。
メビウス1が自由エルジア軍と名乗る武装勢力を掃討し、少数の残存勢力の抵抗も沈静化、やっと真の平和が訪れようとしていた。
まだ本当に安心は出来ないけれど、それでも復興に向けて立ち上がろうとしていた時代。
一兵士の新天地への物語。
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私の名前はヴァンパイアという。
と言っても本名ではなく戦闘機パイロットのコールサインという奴だ。
・・・実際に吸血鬼なんていたら会ってみたいぐらいだ。
本名は・・・イグニスと言うのだがこの際どうでもいいだろう。
まあ、このコールサインも実際には使われず戦闘機に搭乗している最中はセイレーン4と呼ばれている。
何故、こういう名前がついたのか。
まず”ヴァンパイア”の方から説明しよう。
簡単に言えば”あだ名”である。
部隊の同僚に言わせると、昼間はいつも気だるそうにアンニュイ感が炸裂してるそうだ。(失礼と言えば失礼な話だ。)
だが夜になると行動が変わるらしい。
表情や言動は変わらないが、行動が変わりまるで別人なのだと言う。
自分はそうしているつもりは無いが、そうなのだろうか?
他にもう一つ理由ある。
夜間訓練時、機器の故障で墜落した事があるのだ。
何とか脱出装置が働き一命を取り留めたが、通信が出来ず死亡したものと思われた.(勝手に殺すなと言いたいが仕方が無いだろう。)
ところが私は偶然にも山間に走る幹線道路に降り立ち、通る車を利用して帰ってきたことがある。
基地までヒッチハイクし、何事も無かったかのような顔をしながらひょっこり帰ってきたのを見た同僚に、幽霊なんじゃないかと心配されたりもした。(これまた失礼な話である。)
そんなわけで夜間訓練時の成績が飛びぬけてよかったり、件の事故からの生還で不死身なんじゃないかと噂されたり、性格のこともあってか何時の間にか吸血鬼(搭乗時は吸血機。)とあだ名されてしまったのである。
まあ、他にコールサインの候補も無かったし丁度良かった感はある。
どうせ空に上がれば使われないんだ、あだ名でもかまわないだろう。
余談になるが、ヒッチハイクした時に、偶然にも元プロペラ機パイロット(昔の戦争ではエースだったらしい。)のお爺さんの運転する車に拾われた。
家に泊めて貰ったは良いが自慢話を徹夜で散々聞かされた事は今ではいい思い出である。
次に”セイレーン4”についてだが、これには私の所属する軍に理由がある。
ISAF軍、かの有名なメビウス1を生んだ軍隊である。
もともとISAF軍は、大陸諸国経済同盟がエルジア共和国のサンサルバシオン占領とストーンヘンジ占拠に対向する為に軍事面でも親密になった事から端を発する。
何せ原加盟国11カ国を含む16カ国。
いくら小国同士とはいえ各国のパイロットを集めたら、個々にあるコールサインも重複する恐れがある。
というわけで中隊名に数字と言うオーソドックスな呼び方になったらしい。
普段地上では個々のコールサインで呼び合うこともあるが、一旦空に上がればこのコールサインに統一される。
さて、ここで私の所属する中隊を紹介しよう。
ISAF空軍、第205航空隊セイレーン中隊。
ISAF加盟国の中で一番東にあるノースポイントに部隊を置き、機種はF-2Aである。
通常はスクランブル任務だが、主任務は対艦攻撃である。
場合によっては対地・対空なんでもこなすが、基本的に他の部隊がやるのであまり必要ないといえよう。
大陸戦争末期にはISAF軍最終本部になり、基地の広さもあってかいろいろな部隊がいたが、大陸戦争終結後は本部も他の部隊も大陸に戻っている。
またまた余談だが、セイレーンといえば半身半鳥とか半身半魚(ぶっちゃけ人魚)とか言われ、美しい歌声で船乗りを誘い寄せ船を難破させた海の精といわれている。
ウチの隊長は「可愛くて目立つ方が良いだろ!」などとのたまい、人魚にハープを持たせたキャラクターを描いてしまった。
対艦攻撃が主任務のこの部隊としては似合いすぎだろう。
だが、確かにかわいいのは良いのだが、青の濃淡の洋上迷彩が台無しになるぐらい目立つキャラクターだなとも思っていたりする。
これが私と言う人物である。
と同時に私の所属するISAF軍と部隊を紹介した。
簡単ではあるがわかって頂けたであろうか?
- 2 VIPERZERO 2005/08/17 Wed 22:34:13
- えー。
あとがきです。
初めて小説とか書きました。
ここで一つ変更点が!
VIPERZEROで乗機がF−2だと出来すぎているので名前の方は”イグニス”にしておきました。
ご了承ください。
しかもコレって前振りみたいなもので、/1異国派遣、/2遠隔航路、/3黄色残渣、/4戦争遺址T、/5自由回廊、/6戦争遺址Uと続いております。
まだ考えてませんけど・・・。
- 3 VIPERZERO(イグニス) 2005/08/23 Tue 22:18:18
- /1 異国派遣(1)
今、私は基地司令官からとんでもない事を言われている。
「はぁ・・・、オーシア連邦に・・・ですか?」
「そうだ。」
スクランブル出動(結局迷子の民間機だったが)から帰還し、デブリーフィング中に突然呼ばれたのだ。
部屋に入るなり一言目に「今日も気だるそうだな。」と言われ、二言目に「オーシアに飛んでくれないか。」である。
いきなり他国へ行け等と言われたら誰でも戸惑うはずである。
そもそも他国に派遣される人物として私が適当なのだろうか?
こういうのはもっと”偉い人”の役割じゃないのか?
「あまり驚いてないようだな。」
「充分驚いているんですが・・・。」
「そうか?いつもどおりの気だるそうな顔をしているぞ。昼間は苦手かね、”吸血鬼”。」
「すいません・・・」
「誉め言葉だ。ところで何故君が選ばれたか解るか?」
「・・・いえ、全く。思い当たる節もありません。何故です?」
解るはずもなく聞き返す。
私はメビウス1と同期らしいのだが、メビウス1みたいに活躍したわけでもない。
メビウス1のおかげでISAF軍は反撃に出たが、戦いが大陸に戻ってしまったおかげで私の配属された部隊は現在のアラート任務とあまり変わっていない。
変わったといえば大陸戦争末期の本部になった為に、ノースポイントに来る航空機全てに対してエスコートをしていたのがなくなったぐらいだ。
1年以上が経ち、やっと慣れてきたぐらいの私に何をしろというのだろうか。
「君は攻撃任務、特に対艦攻撃が上手かったな。」
「人より出来ると言うだけで別に上手いという訳では・・・。」
「ソレを上手いと言うんだがね。だからこの部隊に配属された、違うかね?」
「はあ・・・。」
「・・・そして君は対空戦闘の成績がいまいちときてる。」
「えぇ、事実ですから反論も何もありません。」
「そこでだ、まずこの資料を見たまえ」
渡された資料を手に取るとオーシアのある部隊の詳細が見てとれた。
オーシア連邦の・・・ソーディウスというのだろうか?
使用機種は・・・へえ、コレはまたバラバラな・・・、整備が大変そうだ。
正式名称・・・オーシア国防空軍第157航空隊、中隊名は・・・書いてない。
搭乗員名簿を見ると、みぃとろ少佐を筆頭にオーシアの各部隊からのエース級の人物がずらりと並んでいる。
中でも目に付いたのは”HIROKI”という人物の”地上で上官を12回撃墜”という部分。
なんだろう、これ・・・、物凄く気になる。
それにしても、これは・・・、キルレートの総計がとんでもない事になっていそうだ・・・。
あぁ、そういうことか。
中隊名が書いていないのではなく、最初から無いに等しいのだ。
名称は一つの部隊でも実質は混成部隊みたいな物だ。
一人のエースが小隊規模の力を持ち、そのエースたちが小隊を組む事で中隊規模以上の力を持つ、そしてそれらが集まるこの部隊は航空団並の規模に匹敵すると言える。
「簡潔に言えば、この部隊でACMのをイロハ学んでこちという事だ。」
「なるほど・・・。」
「それと、オーシア側の要請でな、如何せん各部隊のエースを集めたらACMが得意連中ばかりになってしまってな・・・。」
「つまり、私はどうしろと?」
「その、なんだ・・・、つまり対地戦闘や対艦戦闘のプロフェッショナル”も”よこしてほしいそうだ。」
「その”も”ってことは私の他に誰かいるって事ですよねぇ?」
「いや、君が丁度よく対地対艦が上手くてACMが下手だから君一人に行ってもらおうかなと・・・。」
「・・・・・・。」
もう、呆れるのを通り越して悲しくなってきた・・・。
何故、新人の私がこんな事をしなければいけないのだろうか。
そりゃあ、それだけ評価される事は嬉しいが、今の状態でイッパイイッパイなのである。
こうなったら自棄酒でもしようかな・・・、下戸だけど。
神様、私が一体何をしたんでしょうか・・・、無神論者だけど。
- 4 VIPERZERO(イグニス) 2005/08/23 Tue 22:20:01
- /1 異国派遣(2)
ふと、疑問に思う事がある。
先ほど、整備が大変だと私は思った。
一部隊に二機種や三機種なら整備は大変だろう。
その機種の分だけの知識と技術を持つ人員と、予備機と予備の部品をそろえなければならない。
ところがこの部隊の場合、一人に対して一機種という状態だ。
形式は違えど共通部品で構成される機種、すなわち製造元が同じならまだマシかもしれないが、本当にバラバラなのだ。
これでは運用効率もへったくれも無い。
しかし、こんな部隊が実際に存在し運用されているのだ。
どうやってこんな事を?と疑問に思い聞いてみる。
「これだけ沢山の機種で、よくやっていけますね。」
「部隊も形式的なものでほとんど独立部隊だそうだ。」
「独立部隊・・・。」
「だから予算も特別にまわされているし、なんと言っても独自に傭兵・・・いや、武器商人と言った方が良いのか。これがまた安く手に入れてくるんだそうだ。」
「でも機密事項とかあるのでは?」
「ソレはオーシア側も解っているだろう。そういうことはそういう事を得意とする部署に任せてるだろうさ。」
・・・つまりオーシアの情報局(なんて言うかは知らないが)に任せているという事だろう。
まぁ、こうなってしまった以上は仕方が無いだろう。
「今の機体にやっと慣れたのに・・・。」と小声でつぶやくと、これまた司令官はとんでもない事を言ってくれた。
「あぁ、言うのを忘れたが、武装した機体ごと言ってもらうぞ。まぁ、もちろん対空装備だがね。」
「はあ!?!?!?!?」
「武器も向こうで用意してくれるそうだ。オーシアまでのフライトプランはこちらで提出しておく。後で届けよう。」
機体ごと持ってけとは、また太っ腹である。
どうなる事やら・・・。
- 5 VIPERZERO(イグニス) 2005/08/23 Tue 22:22:56
- あとがきみたいな物。
今回は容量がでかすぎて分割しました。
というか今回も空のことはありませんね・・・。
次回は入れてみたいと思います。
でも無線の英語はめんどくさいので、全部日本語で書いちゃいます。